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第八十五話 傷物(24)
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「ごめんごめん、またやってしまった。医者だと言うのに怪我人を立ち話させてしまっては失格だね。タオルと替えのジャージくらいは用意出来るから、遠慮せずに風呂場を使っておくれ。あの子は疲れて眠ってしまったから、心配しないで大丈夫だよ」
「すみません、お言葉に甘えさせて頂きます」
私は後輩に肩を貸して二人三脚のように、ゆっくりと歩き出した。歩く度に少し顔を歪ませる後輩を見守りながら。
「今の店長に体を預けていると、本当に不良が喧嘩した帰り道って感じですね」
洗面所に付いて、鏡に映った私を見ながら少し微笑みながら話してくれた。
「ふふ、あんたも釘バットとかエレキギターが似合う見た目になったじゃない。大丈夫、すぐ生えるわよ」
「はは、本当馬鹿みたいですよね」
微笑んだ目尻から涙が流れて、ゆっくりと白とピンクのモザイクタイルに落ちていった。
「可愛いお風呂だね、奥さんがデザインしたのかな」
「そうですね、浴室も薄いピンクでお洒落です。でも、奥さんがデザインしたのなら、お爺様が一人で入るには少し残酷ですよね……」
「そうだね……。あれ、これって」
洗面所に丁寧に重ねられた二着のジャージ。薄いピンクの胸には、キノコ町内会と書かれていた。
「すみません、お言葉に甘えさせて頂きます」
私は後輩に肩を貸して二人三脚のように、ゆっくりと歩き出した。歩く度に少し顔を歪ませる後輩を見守りながら。
「今の店長に体を預けていると、本当に不良が喧嘩した帰り道って感じですね」
洗面所に付いて、鏡に映った私を見ながら少し微笑みながら話してくれた。
「ふふ、あんたも釘バットとかエレキギターが似合う見た目になったじゃない。大丈夫、すぐ生えるわよ」
「はは、本当馬鹿みたいですよね」
微笑んだ目尻から涙が流れて、ゆっくりと白とピンクのモザイクタイルに落ちていった。
「可愛いお風呂だね、奥さんがデザインしたのかな」
「そうですね、浴室も薄いピンクでお洒落です。でも、奥さんがデザインしたのなら、お爺様が一人で入るには少し残酷ですよね……」
「そうだね……。あれ、これって」
洗面所に丁寧に重ねられた二着のジャージ。薄いピンクの胸には、キノコ町内会と書かれていた。
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