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第百四話 霞んだ桜色(12)
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「……店長」
後ろから誰かに呼ばれている。薄っすらと白い光に包まれて、少女と母親が霧のように見えなくなっていく。
「……まだ寝てますか?可愛い寝顔、酔うとあんなに荒れるのに。もう、本当にキスしちゃいますよー」
ああ、やっぱり夢だったのかという脱力感を、一気に上書きするくらい恥ずかしくなる後輩の呟きに、動けずに固まってしまった。
「もう、人様の家で眠り姫になっちゃって。目覚めのキスをする王子様は、今頃二日酔いでしょうけれど。はあ、店長取られちゃうの嫌だなー」
顔が赤くなりそうになるのを必死に我慢して、後輩の息が鼻にかかるくすぐったさと距離感に、何故かドキドキしてしまっていた。
「まあ良い人だから良いんですけれど、もっとモデルみたいなイケメンを捕まえてくれても良かったんですよ。店長美人なんだから、むー、でもそれも何か腹立つから嫌だな。まあブサイクでも無いですし、あの笑顔は確かにずるいですけど」
いつから寝ちゃっていたんだっけ、あの子にオムライスを食べさせてもらって、ぼんやり窓を見ていたのは覚えているんだけれど……
「あれ、店長起きてます?」
不意に体が動きそうになるのを我慢してしまった。どうして寝たふりを続けているのか、自分でも不思議だったけれど、彼女の本音が聞けるようで少しドキドキしながら、暖かい布団の中で気付かれないように静かに深呼吸をした。
後ろから誰かに呼ばれている。薄っすらと白い光に包まれて、少女と母親が霧のように見えなくなっていく。
「……まだ寝てますか?可愛い寝顔、酔うとあんなに荒れるのに。もう、本当にキスしちゃいますよー」
ああ、やっぱり夢だったのかという脱力感を、一気に上書きするくらい恥ずかしくなる後輩の呟きに、動けずに固まってしまった。
「もう、人様の家で眠り姫になっちゃって。目覚めのキスをする王子様は、今頃二日酔いでしょうけれど。はあ、店長取られちゃうの嫌だなー」
顔が赤くなりそうになるのを必死に我慢して、後輩の息が鼻にかかるくすぐったさと距離感に、何故かドキドキしてしまっていた。
「まあ良い人だから良いんですけれど、もっとモデルみたいなイケメンを捕まえてくれても良かったんですよ。店長美人なんだから、むー、でもそれも何か腹立つから嫌だな。まあブサイクでも無いですし、あの笑顔は確かにずるいですけど」
いつから寝ちゃっていたんだっけ、あの子にオムライスを食べさせてもらって、ぼんやり窓を見ていたのは覚えているんだけれど……
「あれ、店長起きてます?」
不意に体が動きそうになるのを我慢してしまった。どうして寝たふりを続けているのか、自分でも不思議だったけれど、彼女の本音が聞けるようで少しドキドキしながら、暖かい布団の中で気付かれないように静かに深呼吸をした。
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