世界に転生したは俺は、勇者たちを導く

鈴木泉

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第2章 勇者選別

第16話 謎の仮面

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崩れゆく勇者候補たち

「はぁっ……ぐっ!」
ソウマの剣がはじかれ、床に転がる。
ユウマも片膝をつき、呼吸を荒げた。

舞台中央に立つのは、漆黒の鎌を握る無言の男。
その影がじわじわと広がり、二人の足元を絡め取ろうとしていた。

「やめて……! もうやめてください!」
リアナが観客席で叫ぶ。

ルミナスは腕を組み、冷たく息を吐いた。
「……このままじゃ、本当に殺される」

鎌が振り上げられる。鋭い光沢を帯びた刃先が、今まさに振り下ろされようとした。



少し時は戻り――

俺は静かに腰を上げる。
「……悪い、ちょっとトイレ」

「えっ!? こんな時に!?」リアナが振り向き、目を丸くする。
ルミナスは眉をひそめて、「……ここで?ソウマが...こんな時に...?」と吐き捨てた。

俺は肩をすくめるだけで、そのまま人混みに消えていった。

―――

謎の仮面の登場

直後、鎌が振り下ろされ砂埃が舞った中に仮面の戦士が現れる。黒のローブが風に揺れ、指先で鎌を止めていた。

観客が一斉にざわめく。
「誰だ!?」
「勇者候補に、あんなのいたか?」
「いや……あれは……?」

答えは誰も知らない。だが、その存在感だけで空気が変わっていくのを、誰もが感じ取っていた。

(さて、ここ最近、出番がなかったからな...一暴れさせてもらうか...気づいてる方も多いと思うけど仮面の男は俺テーレだ。こんなに喋ってキャラ変?って思うかもだけど元々こういう性格。さてまだまだ話したいことはあるけれどまあ今度のきか...あっ)


「おいあの仮面の男全く動かないけど何してんだ?」
「あ!危ない!」



再び鎌が振り下ろされそうになったその瞬間

「――震天轟波クエイク・バースト!」

仮面の男が踏み込む。
大地が裂け、轟音と共に衝撃波が走った。
その力に押され、鎌の男が後ろに飛ばされる。

ソウマとユウマは間一髪で命を拾った。

観客「なんだ今の!?」
「地面が……爆発したぞ!」

テーレがボソッと口にした
「あいつは、語りかけてる時に攻撃はしちゃダメだって教わってないのか?」

ルミナスは冷たい瞳で見つめながら呟いた。
「魔力を感じない……魔法じゃない......?」



影の逆襲

鎌の男が一歩踏み出す。
「……」
無言のまま、影が溢れ出した。

黒滝瀑シャドウ・カスケード

闇が滝のように降り注ぎ、仮面の男を押し潰そうとする。
漆黒の奔流が轟音を立てて広間を飲み込んだ。

だが仮面の男は臆さず、両手を振り上げる。
翠嵐翔ブレード・ゲイル!」

無数の風刃が嵐のように立ち上がり、黒滝瀑を切り裂いた。
風と闇が激突し、轟音が響き渡る。

観客「押し返した!?」
「風が……闇を裂いた……!」



拘束と解放

影の男は鎌を振り下ろし、低く呟く。
虚黒牢シャドウ・プリズン

闇の格子が空間を覆い、仮面の男を閉じ込めようと迫る。
黒い檻は息を呑むほど重く、観客席にまで不気味な気配が広がった。

だが仮面の男は一歩も退かない。
大地断層グラン・ドライブ!」

床が砕け、地割れが走る。
大地そのものが裂け、闇の檻を下から突き破った。
破片が飛び散り、観客が悲鳴を上げる。

「おおおっ!」
「闇を砕いた!?」

ソウマはよろめきながら叫ぶ。
「すっげぇ……かっけぇ!」

ユウマは冷たい視線を投げ、
「いや……あれは人間ができることじゃない...」と小さく漏らした。




仮面の男はゆっくりと腕を広げる。
空気が震え、大地と風が共鳴した。

天地咆哮ワールド・ロア!」

轟音と共に床が盛り上がり、暴風が吹き荒れる。
ステンドグラスが軋み、会場全体が揺れた。
観客の悲鳴が混じり、やがて喝采へと変わる。

「すげぇぇぇっ!」
「新たな勇者か!?」

リアナは祈るように両手を組み、
ルミナスは目を細めて、「……やっぱり」と呟いた。




押し返されボロボロの影の男は、初めて反応を見せる。
鎌を掲げ、闇を大きく渦巻かせた。
空気が震え、観客の声が遠のいていく。

「……っ!?」

気づけば世界は闇に塗り潰され、舞台も観客席も消えていた。
残されたのは俺と影の男、二人だけ。



「なるほど……ようやく静かになったな」
仮面の奥で、俺は冷たい声を落とす。

影の男が鎌を構えたまま低く呟く。
「キサマ……何者ダ。そのチカラ、人のモノではない」

俺は肩をすくめる。
「お……試すか? 最後まで残れるならな」

世界としての俺の意識が、目の前の男に強烈な違和感を覚えていた。

(この世界の人間じゃない……こいつは――“異質”だ)

影の男の鎌がゆっくりと構えられる。
その沈黙が、不気味な決戦の始まりを告げていた。
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