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8章 ※
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長丁場の説教を覚悟し、戸惑いながらも観念して、ベッドの半分を明け渡す。主寝室のベッドはゆとりのあるダブルで、男二人が横たわってもはみ出すことはない。
休み中も仕事をすることを――今は寝食を惜しんででも仕事に打ち込みたいことを、どうしても理解してほしい。そのために、どう言えばこの過保護な幼馴染に納得してもらえるのか。
そのことばかりに頭を巡らせる志貴の体が、突然うつ伏せに転がされた。驚く間もなく寝間着の帯が抜かれ、後ろ手に縛められる。
「イチ兄さん、何を……あっ!」
再び体が返される。寝間着はしどけなくはだけられ、背を覆うだけだ。その下に縛られた両腕が敷き込まれ、自重でさらに動きを封じられた。
下着一枚の無様な姿を、布団をはいで脚の間に移動した一洋が見下ろしてくる。真上の照明の影になり、その表情は読めない。よく知る幼馴染のはずが、突然見知らぬ男のように見えて、志貴は鳥肌を立てた。肌を撫でる、冷たい空気のせいではない。
その無意識の拒絶を引き金に、一洋の手が志貴に伸びた。やさしい幼馴染は、欺かれた憤りを暴力で返すことはしなかった。
「嫌だ兄さん、離して!」
唯一身を覆っていた下着を剥ぎ取られ、露わになったものを握られた志貴は、悲鳴のように叫んだ。ただ握るだけではなく、大きな手のひらはゆっくりとそこを扱いてくる。
「やだ、やめて、離して!」
「眠れないのは、余計なことを考えてるからだ。だから、何も考えられないくらい気持ちよくしてやる」
「そんなっ、――あ、はぁっ」
「大人しくしていろ。もう二度と狸寝入りなんてしようと思わないように、――俺には嘘を吐けないように、体に教えてやる」
「あぁっ」
男の弱みを大きな手のひらにしっかりと包み込まれ、身動きが取れなくなる。痛みは与えられていないが、逆らえば容赦なく力を加えるという意志が込められた形に、握り込まれている。
「志貴はどうされるのが好きなんだ?」
「どう、って……あっ!」
「こうして玉を転がされるのは、好きか」
「やっ、そんなこと、しないで。怖いよ、兄さん……あぁっ」
嚢に収まった双玉をゆったりと揉まれ、息が弾んだ。一番脆いところを他人の手に支配される恐怖を訴えても、淫靡な弄りは止まらない。
一洋の本気を感じ取り、志貴はこくりと喉を鳴らした。二つ年上のやさしい幼馴染を――いつもいじめっ子から守ってくれた強くて大きな兄を、それほど怒らせてしまったのだ。
「……ごめん、ごめんなさい、イチ兄さん。もうしないから、許して……っ」
「志貴のすることなら、俺が何でも許すと思っていたのか?」
「兄さん……」
初めて聞く冷ややかな声音に、許しを乞う声すらも喉に詰まった。
生まれた時から、一洋の存在は傍らにあった。
休み中も仕事をすることを――今は寝食を惜しんででも仕事に打ち込みたいことを、どうしても理解してほしい。そのために、どう言えばこの過保護な幼馴染に納得してもらえるのか。
そのことばかりに頭を巡らせる志貴の体が、突然うつ伏せに転がされた。驚く間もなく寝間着の帯が抜かれ、後ろ手に縛められる。
「イチ兄さん、何を……あっ!」
再び体が返される。寝間着はしどけなくはだけられ、背を覆うだけだ。その下に縛られた両腕が敷き込まれ、自重でさらに動きを封じられた。
下着一枚の無様な姿を、布団をはいで脚の間に移動した一洋が見下ろしてくる。真上の照明の影になり、その表情は読めない。よく知る幼馴染のはずが、突然見知らぬ男のように見えて、志貴は鳥肌を立てた。肌を撫でる、冷たい空気のせいではない。
その無意識の拒絶を引き金に、一洋の手が志貴に伸びた。やさしい幼馴染は、欺かれた憤りを暴力で返すことはしなかった。
「嫌だ兄さん、離して!」
唯一身を覆っていた下着を剥ぎ取られ、露わになったものを握られた志貴は、悲鳴のように叫んだ。ただ握るだけではなく、大きな手のひらはゆっくりとそこを扱いてくる。
「やだ、やめて、離して!」
「眠れないのは、余計なことを考えてるからだ。だから、何も考えられないくらい気持ちよくしてやる」
「そんなっ、――あ、はぁっ」
「大人しくしていろ。もう二度と狸寝入りなんてしようと思わないように、――俺には嘘を吐けないように、体に教えてやる」
「あぁっ」
男の弱みを大きな手のひらにしっかりと包み込まれ、身動きが取れなくなる。痛みは与えられていないが、逆らえば容赦なく力を加えるという意志が込められた形に、握り込まれている。
「志貴はどうされるのが好きなんだ?」
「どう、って……あっ!」
「こうして玉を転がされるのは、好きか」
「やっ、そんなこと、しないで。怖いよ、兄さん……あぁっ」
嚢に収まった双玉をゆったりと揉まれ、息が弾んだ。一番脆いところを他人の手に支配される恐怖を訴えても、淫靡な弄りは止まらない。
一洋の本気を感じ取り、志貴はこくりと喉を鳴らした。二つ年上のやさしい幼馴染を――いつもいじめっ子から守ってくれた強くて大きな兄を、それほど怒らせてしまったのだ。
「……ごめん、ごめんなさい、イチ兄さん。もうしないから、許して……っ」
「志貴のすることなら、俺が何でも許すと思っていたのか?」
「兄さん……」
初めて聞く冷ややかな声音に、許しを乞う声すらも喉に詰まった。
生まれた時から、一洋の存在は傍らにあった。
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