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9章 ※
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(慣れるわけがない……)
あの始まりの夜と朝を思い出し、首筋を這い上る慄きに思わず身を竦めながら、志貴は目の前の幼馴染を見知らぬ男のように見つめた。
志貴の部屋で二人になる時、一洋は志貴をとことん甘やかし、その体を隅々まで潤わせる。体ごと心ごと無理矢理その手の内に沈められるような、一洋との夜。
回数を重ねるにつれ、隔てるものを徹底的に剥ぎ取られる諦念と屈辱の中に、しかし志貴は安堵のようなものを感じるようになっていた。どんな醜態も受けとめてくれる人がいる、という揺るぎない事実は、道を迷わないための灯なのかもしれないと思い始めたのだ。
きっと一洋は、志貴が前を向いて立てなくなっても、軽蔑し去るようなことはない。どんな形でこの戦争が終わろうと、隣に立ち同じ風景を見て――粛々と受け入れ、最善を模索するだろう。
ならば志貴にとってそうであるように、一洋にもこの関係が灯となってくれればいい。一方的に案じ労わる保護者として側にいるのではなく、ささやかでもその支えとして志貴を使ってくれたらいい。
怯えるほどの快楽で屈服させる怖い男に変貌しても、一洋から逃げたいとは思えない。長い時間をかけて育まれた親愛の情が、消えることはない。週に一度の行為の本質が、志貴に向けられたものではないとわかっていても、保護者の域を超えた感情――執着に隠された想いを、詰る気にはなれないのだ。
異国の地で、一時の憩いになればいい。抱えた想いをぶつけることで、鬱屈を晴らしてくれればいい。
仮初めの関係でも、焦燥に少しずつ摩耗していく状況で、二人が深い眠りを得られるならば。
あの始まりの夜と朝を思い出し、首筋を這い上る慄きに思わず身を竦めながら、志貴は目の前の幼馴染を見知らぬ男のように見つめた。
志貴の部屋で二人になる時、一洋は志貴をとことん甘やかし、その体を隅々まで潤わせる。体ごと心ごと無理矢理その手の内に沈められるような、一洋との夜。
回数を重ねるにつれ、隔てるものを徹底的に剥ぎ取られる諦念と屈辱の中に、しかし志貴は安堵のようなものを感じるようになっていた。どんな醜態も受けとめてくれる人がいる、という揺るぎない事実は、道を迷わないための灯なのかもしれないと思い始めたのだ。
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仮初めの関係でも、焦燥に少しずつ摩耗していく状況で、二人が深い眠りを得られるならば。
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