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11章
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そう思うのに――隣には百戦錬磨の元政治家が座り、話はまだ終わっていないのに、彼女の一言で毛羽立った神経を、そんな些細なことに刺激されている。
ピラールの姿が完全に見えなくなるまで、二人は黙ったままでいた。
志貴とは別に、ナヴァスも彼女という存在に何かを感じたらしい。おそらくは、かつては共に政権の中枢にありながら、外交政策の転換のために更迭された自身と、今も中央に席があるピラールとの対比が、政治家としての彼の自負を傷つけたのだろう。
志貴とは視線を合わせず、大池を真っ直ぐ見つめたまま流れ出たナヴァスの言葉には、隠しきれない憤りと、背中合わせの虚無が滲んでいた。
「人も国も、利用価値がなくなれば疎遠になる。私はそれを思い知った。君の国も、何もしなければ早晩そうなる。誰にも顧みられることなく、体面を保つこともできず、尊厳すらも踏み躙られるだろう。私のようになりたくなければ――考えてみてくれたまえ、さきほどの提案を」
ピラールの姿が完全に見えなくなるまで、二人は黙ったままでいた。
志貴とは別に、ナヴァスも彼女という存在に何かを感じたらしい。おそらくは、かつては共に政権の中枢にありながら、外交政策の転換のために更迭された自身と、今も中央に席があるピラールとの対比が、政治家としての彼の自負を傷つけたのだろう。
志貴とは視線を合わせず、大池を真っ直ぐ見つめたまま流れ出たナヴァスの言葉には、隠しきれない憤りと、背中合わせの虚無が滲んでいた。
「人も国も、利用価値がなくなれば疎遠になる。私はそれを思い知った。君の国も、何もしなければ早晩そうなる。誰にも顧みられることなく、体面を保つこともできず、尊厳すらも踏み躙られるだろう。私のようになりたくなければ――考えてみてくれたまえ、さきほどの提案を」
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