トゥモロウ・スピーチ

音羽夏生

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15章※

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「お願い……イチ兄さん、もう達かせて……お願い……っ」
「隠し事をする悪い子には、お仕置きが必要だろう」
「……な、に……?」
「帰ってからずっと、物言いたげな、でも何も言いたくなさそうな、変に取り繕った顔をしてる。お前がそんな顔をするのは、大抵ロクでもないことを隠してる時だ」

 ロクでもないことには違いない。
 一洋の不在で無力さを痛感し、帰国の噂で情けなくべそをかいたことなど。帰国した方が一洋の望みに添うのにその帰還を喜び、長期の不在は終戦工作の布石と知って、器の違いにいじましく嫉妬したことなど。
 個人的なものであれ、結果的にイギリス、そしてアスター家との絆をより強固なものにした、父の人道的な行為。その恩恵の和平工作を、どこか自分の手柄のように思っていなかったか。戻った一洋に話して聞かせ、よくやったと褒められ、認められたいと思ってはいなかったか。
 役にも立たない功名心や出世欲など無縁でいたつもりだったのに、どうしても張り合ってしまう。年長の保護者然としていても、二つしか変わらない幼馴染には。

 志貴が停滞と慢心に足を取られている間、二つ年上の兄貴分は自身の立場と能力で人脈を築いていた。三ヵ月を無為に過ごした志貴を置いて、数歩先を進んでいた。
 自身の卑小さを思い知らされ、卑屈な思いに囚われるのは、当然の報いだ。しかしそのすべてを、告白しなければならない理由はない。すべて自分で噛み締め、飲み下し、二度はないと苦い自省の材料としても、一洋に打ち明けて慰められる、これ以上惨めな思いをしたくはなかった。

「そんな、こと……」
「バレてるのに、これ以上隠して何になる。さっさと吐いてしまえ。……思い切り出したいんだろう、三ヵ月も溜め込んだ精液を」
「アァんっ!」

 指の輪で根元をきつく縛められるのと、別の手でくびれをぬぽっと扱かれるのは同時だった。
 ゆるくもどかしい指先にじっとりと汗ばんでいた肌が、突然の激しい手技にざっと泡立つ。くびれから先端を指の輪で鋭く擦られる感覚は、気持ちよさを越えて痛みに近い。それでも志貴の欲望は萎えることなく、男の手の中で喜悦の涙をこぼすだけだ。

「ひ、あっ、ン、ンぅっ、……や、やぁっ、兄さん、何で……っ」
「噓を吐けない体にしてやったのに、まだ懲りてないのか」
「嘘なんて吐いてないっ」
「何も言わずに黙っていれば、嘘を吐いたことにはならない――子供の理屈だな」
「ひィィッ!」

 根元を握り締めたまま、もう片方の手が志貴の手を払いのけ、左の乳首を捻り上げた。そのままぎゅうっと引っ張られ、引き延ばした状態でぎりぎりと潰される。
 全身が強張り、志貴は目を見開いたまま、突然の暴虐に耐えた。

「い、痛っ、……ぁあ、……はぁ、あっ……」
「こんなにされても悦さそうだな……空いた手で扱いていいぞ。ただし右手は、ちゃんと乳首を弄るんだ」
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