トゥモロウ・スピーチ

音羽夏生

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16章※

12

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「にぃさん、もう、だめっ……」
「風呂に行くまで我慢するんだ。好きなだけ出させてやる。前も後ろも」
「は、やく……!」

 慎重に身を起こし、目の前の男の首に両腕で縋る。掬うように腰と膝裏に手が回り、しっかりと抱き上げられた。力強い腕は男一人を抱き上げても揺らぐことなく、一洋は確かな足取りで歩き出す。

「う、くっ、……ふぅッ」

 粗相をしてはいけないと尻に力を入れると、中の葡萄がじゃれ合うように蠢く。弱いところを刺激されて首に回した腕から力が抜け、すっかり身を預ける格好になってしまった。

(こんなの……子供の抱っこじゃないか……)

 情けなさのあまり俯いた志貴に、一洋も同じことを思っていたらしい。懐かしむような口調で声を掛けてくる。

「こうして抱っこしてやるのは何年振りだ? 子供の頃は、近所の悪ガキに転ばされた志貴を、抱いて帰ったこともあったな。あの頃お前は体も小さくて、女の子とよく間違われてた。――本当に可愛かった」
「そのせいで、苛められたんだから……何もいいことは、なかったよ」
「……あいつらみんな、本当は志貴を可愛がりたがってたんだがな……」
「え、……何?」
「何でもない。昔からお前は性質が悪いって話だ」

 そうして浴室に運ばれた志貴は、浴槽に入れられ、立ったまま壁に手を突いて尻を向けるように指示された。その尻たぶに、一洋の手が掛かる。男の意図を知り、あまりの羞恥と恥辱に目が眩むが、拒むこともできないほど体は追い詰められている。
 迷いのない手つきで双丘を割り広げ、狭間を剥き出しにさせると、男は冷徹に命じた。

「――出せ」
「……はァッ、ぁあぁぁんっ」

 噛み殺そうとしたが果たせず、か細い悲鳴が迸った。
 つぷ、ぬぷり、と温まった葡萄の粒が一つずつ肉の輪をくぐり、浴槽の底へとこぼれ落ちる。排泄そのものの一部始終を、背後の男に観察されている。
 おぞましさに震えながらも、止められなかった。我慢に我慢を重ねた末の解放は、身の毛がよだつほど深く、魂に刻まれるような愉悦だったのだ。

「く、ぅんっ、……はぁ、ぁ、あうっ……っ」

 それでも、はしたなく全部出してしまいたいのを懸命に堪え、泣きながら尻の穴を窄め、緩める。葡萄が穴をくぐり抜けるたびに、ビクッと腰が跳ねた。一粒ずつ産み落とすような妖しい快感に、都度高く声が上がってしまう。

「ア、……ァア、……んくっ、はぁ、はあぁ……」

 半分ほどが出たところで、腰を掴まれ向かい合わせで立たされた。一洋の首に手を回すように促され従うが、立っているにも足が震えてしまい、男の体にしなだれ掛かるように縋りついてしまう。
 易々と受けとめた一洋は、汗で湿った志貴の髪を梳きながら、もう片方の手で、放ったらかしにされている哀れな志貴の欲望を包んだ。

「産卵してるみたいだな……次は本物の卵を入れてみるか?」
「……にぃさんが、のぞむなら……」
「俺は志貴が望むことしかしてないだろう……ほら」

 耳元で囁かれ、その吐息にすら感じ、志貴は艶かしく喘いだ。
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