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初光
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皇統を繋ぐ者として能力を証明し義務を果たすために、献上された妃を順に抱き、子を儲ける。多くの妃との間に子が生まれれば、妃を後見する貴族の支持も厚くなり、皇太子の地位は盤石になる。
シェルを迎えるまで、エーヴェルトの後宮は夜の政庁に過ぎなかった。ユングリングの企てだったとはいえ、母と弟妹の殺害を許した場所に執着するはずもなく、管理は女官長に一任し、女たちの思惑など気にも留めなかった。
犯行現場となった母妃の居室は事件後に封鎖され、エーヴェルトが後宮の主となってもそのままである。
外殿だけが──シェルと暮らしたあの小さな宮殿だけが、エーヴェルトが大切にした『家』だった。
一方、生まれ育った場所という強みを活かし、後宮を掌握していたのがハルディスである。女たちを守るために独断専行してシェルを傷つけた罪は重いが、皇帝の無関心と皇后の不在を埋めていた手腕は評価に値する。
そのハルディスが監督するリンネ大公家は、ある意味で最も統率の取れた堅固な家門と言えた。密かにクリスティーナが滞在しても外部に漏れることはなく、その待遇にも間違いはないだろう。
シェル出奔の明らかな一因である断種未遂事件の罪滅ぼしとして、リンネ大公家を軟禁場所に利用したわけだが、エーヴェルトの思惑は少々──外れた。
「兄はもうユングリングの者ではございません」
エーヴェルトの持ち掛けた取引に、クリスティーナは慇懃ながらも強い調子で断りを入れたのである。
シェルを迎えるまで、エーヴェルトの後宮は夜の政庁に過ぎなかった。ユングリングの企てだったとはいえ、母と弟妹の殺害を許した場所に執着するはずもなく、管理は女官長に一任し、女たちの思惑など気にも留めなかった。
犯行現場となった母妃の居室は事件後に封鎖され、エーヴェルトが後宮の主となってもそのままである。
外殿だけが──シェルと暮らしたあの小さな宮殿だけが、エーヴェルトが大切にした『家』だった。
一方、生まれ育った場所という強みを活かし、後宮を掌握していたのがハルディスである。女たちを守るために独断専行してシェルを傷つけた罪は重いが、皇帝の無関心と皇后の不在を埋めていた手腕は評価に値する。
そのハルディスが監督するリンネ大公家は、ある意味で最も統率の取れた堅固な家門と言えた。密かにクリスティーナが滞在しても外部に漏れることはなく、その待遇にも間違いはないだろう。
シェル出奔の明らかな一因である断種未遂事件の罪滅ぼしとして、リンネ大公家を軟禁場所に利用したわけだが、エーヴェルトの思惑は少々──外れた。
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