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初光
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「北海帝国皇帝からミレニオ国王陛下に、提案を申し上げる。──余はユングリング公女クリスティーナを養女とし、第一皇女の称号を授けた上で貴国へ送る。王の実妹、王位継承権第一位にある者を、未来の女王、国母として育ててはいかがか」
(………取引……これが帝国の提案………?)
あまりに唐突な、あまりに思いがけない申し出。
シェルは混乱した。冷静を装い、必死に状況を整理しようと努めた。
養女にしてしまったら、皇帝は娘であるクリスティーナと結婚することはできない。つまり、ユングリングを標的にした后狩りは完結せず、皇帝の体面を損なうことになる。
即座に断ろうとして──シェルは気がついた。
先帝がミレニオの第一王女を皇后としなかったのは、その至高の座をミレニオ王家の血筋に渡さないことで、帝国の格を上げるためだった。
クリスティーナはユングリング家の者とはいえ、その第一王女の娘であり、今はミレニオの王位継承権第一位を有する。シェルが再婚し子を得られれば王位は遠のくが、シェルの変調のせいで今はその可能性も低く、皇帝はおそらくそのことに気づいている。
ルチア王女よりも王位に近いミレニオの血統を皇后とするのは、両国間の力関係で優位を保ちたい帝国にとって悪手となったのだ──シェルの即位によって。
反対に、クリスティーナをミレニオに送り出せば、皇帝には利点しかない。
(………取引……これが帝国の提案………?)
あまりに唐突な、あまりに思いがけない申し出。
シェルは混乱した。冷静を装い、必死に状況を整理しようと努めた。
養女にしてしまったら、皇帝は娘であるクリスティーナと結婚することはできない。つまり、ユングリングを標的にした后狩りは完結せず、皇帝の体面を損なうことになる。
即座に断ろうとして──シェルは気がついた。
先帝がミレニオの第一王女を皇后としなかったのは、その至高の座をミレニオ王家の血筋に渡さないことで、帝国の格を上げるためだった。
クリスティーナはユングリング家の者とはいえ、その第一王女の娘であり、今はミレニオの王位継承権第一位を有する。シェルが再婚し子を得られれば王位は遠のくが、シェルの変調のせいで今はその可能性も低く、皇帝はおそらくそのことに気づいている。
ルチア王女よりも王位に近いミレニオの血統を皇后とするのは、両国間の力関係で優位を保ちたい帝国にとって悪手となったのだ──シェルの即位によって。
反対に、クリスティーナをミレニオに送り出せば、皇帝には利点しかない。
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