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初光
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自身を愚かさから守り律する、絶対的な鎧──ミレニオ国王の肩書きに、シェルは心から感謝した。
「私の結婚は、貴国の指図を受けることではありません」
「身も心も、今もこの先も恋い慕うのは余だけだと、不幸な結婚で証明なさるおつもりか」
「お考え違いをなさっておられるようですね。我が神の御名において、複数の婚姻関係が同時に進行する貴国の風習は、到底受け入れられるものではありません。ミレニオの者をお望みなら、まず後宮を廃されてから話をされてはいかがです」
「流石兄妹、同じことを申される」
シェル同様に、いつもの鷹揚さが欠片もない硬い表情をしていた皇帝が、初めて頰を緩める。
そして語られた妹の言葉に、シェルは完全に言葉を失った。
『後宮という場所は、兄と私の信じる神の御名の下では冒涜、あり得べからざる存在なのです。婚姻は、誓いを立てた二人の聖なる結びつきなのですから。──後宮を廃止なさり、陛下のご伴侶はただお一人、兄一人と定められるなら、陛下のお申し入れを承りミレニオへ参りましょう。無理ならば、私をお召しになり后狩りを成就させ、御世の礎となさいませ。それが我が兄の望みでございます』
(后狩りから一年以上、ずっと荒波に揉まれ続けて、以前のようにおっとりした姫のままではいられないのだろうけど……)
それにしてもあの奥ゆかしい妹が、皇帝に対しこれほどはっきり言上するなど、到底信じられない。
「私の結婚は、貴国の指図を受けることではありません」
「身も心も、今もこの先も恋い慕うのは余だけだと、不幸な結婚で証明なさるおつもりか」
「お考え違いをなさっておられるようですね。我が神の御名において、複数の婚姻関係が同時に進行する貴国の風習は、到底受け入れられるものではありません。ミレニオの者をお望みなら、まず後宮を廃されてから話をされてはいかがです」
「流石兄妹、同じことを申される」
シェル同様に、いつもの鷹揚さが欠片もない硬い表情をしていた皇帝が、初めて頰を緩める。
そして語られた妹の言葉に、シェルは完全に言葉を失った。
『後宮という場所は、兄と私の信じる神の御名の下では冒涜、あり得べからざる存在なのです。婚姻は、誓いを立てた二人の聖なる結びつきなのですから。──後宮を廃止なさり、陛下のご伴侶はただお一人、兄一人と定められるなら、陛下のお申し入れを承りミレニオへ参りましょう。無理ならば、私をお召しになり后狩りを成就させ、御世の礎となさいませ。それが我が兄の望みでございます』
(后狩りから一年以上、ずっと荒波に揉まれ続けて、以前のようにおっとりした姫のままではいられないのだろうけど……)
それにしてもあの奥ゆかしい妹が、皇帝に対しこれほどはっきり言上するなど、到底信じられない。
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