【完結】后狩り

音羽夏生

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蜜月 ※

6

 社交ではなく、シェル自身に深い愛情を注いでくれたのは、母と妹、そしてミレニオの縁者だけだった。それは家族の情であり、そもそもシェルは、夫を名乗る男から情愛を注がれる性ではない。
 帝国では、同性の愛人を持つことは珍しくないが、正式な伴侶として迎えるのは異性である。特に貴族であれば、後継者をもうけるのは第一の義務となる。同性を正妻に迎えるなど、ありえないことだ。
 それが皇帝であれば、なおさらである。いくら妾妃所生の皇子が幾人もいるとはいえ、唯一無二の皇后が男であっていいわけがない。

(だから、正さなければ)

 決意はいつも心にあるが、蜜のように甘い言葉を注がれ、蕩けるような快楽に浸される日々に馴染みつつあるのは否めなかった。固く囚われており、また臣下の身で皇帝を拒めるはずもないのだが、誰かに求められ愛されるという初めての事態に、心身が少しずつ変質しているような気がする。愛称で呼ぶことを許され、ただ一人と熱望されることに、いつしかほのかな喜びを感じるようになったのだ。
 だから、どんなに恥ずかしいことを要求されても、羞恥に切り刻まれる心とは裏腹に、体ははしたなく濡れてしまう。毎夜宦官によって行われ、そのたびに死にたくなるほどの屈辱を覚える洗浄も、皇帝の御前で行われれば、その恥辱と被虐的な行為自体が、快楽を煽る前戯となる。
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