【完結】后狩り

音羽夏生

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入宮

14

 シェルは簡潔に事実を伝えたつもりだったが、受け取り方によっては、男に身を差し出すつもりがあると言っているに等しい。

「先日殿下は、私の結婚相手をお決めくださると仰せになりました。殿下にご都合の良い縁組みがありましたら、いつなりとお役立てください」

 ここ数日、言わなくてはと思いつつ言えずにいた報告ができてほっとするシェルに、立ち上がった皇太子が近付いてくる。

「もしかして、……精通したと言っているのか。俺に口を吸われて……?」

 圧するように間近に立たれ、その迫力に内心臆しながらも動かずに、シェルは誤解を解くべく「はい」と頷いた。
 殊勝さを愛でるように、大きな手が頬を包み、親指が唇をなぞる。その感触にぞくりと背筋が泡立ち、シェルは情けを乞うように目の前の顔を見上げた。

「俺に口づけされて、感じて出したのか」
「因果関係はわかりませんが、あの晩、……その、大人になりました」
「大人になったというなら、稚い言葉遣いを改めろ。あれは口を吸ったんじゃない。口づけたんだ──このように」

 あの晩のように、シェルは皇太子の舌と唇に翻弄された。舌を舌でくすぐられ、耐えきれずに浮いたところを皇太子の口の中に引き込まれ、弄ばれた。
 抱き締められていなければ、その場に座り込んでいた。濃厚な口づけから解放された時、シェルは逞しい胸に頬を当て、肩で息をする有り様だった。
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