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偽妃 ※
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ウルリカが淡々と語った過去に、男二人は──戦慄した。
昔、ユングリング大公妃とハルディス第一皇女の後押しで近衛に配属されたウルリカをやっかみ、またサンドベリ大公家の公女である彼女を、卑劣な手段で我が物としようとした同輩がいた。
剣術は勿論、射撃も得意とするウルリカは、その腕前を証明する機会を逃さなかった。正式に任官された初の貴族女性、しかも『建国の五柱』の嫡女ということで、護身用小型拳銃の携帯を認められており、反撃の銃爪をためらわなかったのである。──無論、効果的な再犯防止策を講じることも。
肩と太腿を撃ち抜き動けなくさせてから、ウルリカは扉に閂を掛け外部を遮断した。男の仲間に邪魔されるのを防ぐためだった。
男から奪った短剣で切除した『禍根』は、猿轡に替えて卑劣漢の口に詰めれば、耳障りな悲鳴を封じるのには役立った。そうしてウルリカは身なりを改め、悠々と近衛の軍府に出頭したのである。
ウルリカが処罰されることはなかった。
皇帝の御前で立てられた天誓に関する争いは、皇帝臨席の特別閉鎖法廷で裁かれる。天誓への妨害行為に対する反撃は、それが殺人であっても、基本的に無罪となるのが通例である。
昔、ユングリング大公妃とハルディス第一皇女の後押しで近衛に配属されたウルリカをやっかみ、またサンドベリ大公家の公女である彼女を、卑劣な手段で我が物としようとした同輩がいた。
剣術は勿論、射撃も得意とするウルリカは、その腕前を証明する機会を逃さなかった。正式に任官された初の貴族女性、しかも『建国の五柱』の嫡女ということで、護身用小型拳銃の携帯を認められており、反撃の銃爪をためらわなかったのである。──無論、効果的な再犯防止策を講じることも。
肩と太腿を撃ち抜き動けなくさせてから、ウルリカは扉に閂を掛け外部を遮断した。男の仲間に邪魔されるのを防ぐためだった。
男から奪った短剣で切除した『禍根』は、猿轡に替えて卑劣漢の口に詰めれば、耳障りな悲鳴を封じるのには役立った。そうしてウルリカは身なりを改め、悠々と近衛の軍府に出頭したのである。
ウルリカが処罰されることはなかった。
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