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シェリングフォード家の主従
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「アルバートの君に対する執着の種類はどうなんだい?彼の執着は、ジェイムズのそれと同じもののように見受けられるけれど」
「わたしは男ですし、御主人様の従僕です」
問われることを予想していたのだろうか。間髪置かず、エリオットはきっぱりと迷いなく告げた。
「あなたもかつて従僕としてお勤めだったのですから、公私の間に横たわる境界をよくご存知のはずです。それにわたしは古い型の人間ですから、規則やしきたりに従って生きることしかできません。階級の垣根を越えて、臆さずこちらへ踏み込もうとする御主人様のやり方には、正直…混乱してしまうのです」
微かに揺れた細い肩。
本音の透かし見える言葉は、先の宣言に比べると随分と頼りなく、弱さと疲れすら感じられる。エリオットの職業人としての誇りに抵触するアルバートの執着は、男同士という禁断の関係に対する背徳感にエリオットを引きずり込むだけでなく、彼にとっては異世界からの襲撃にも等しい恐慌をももたらしていたのだ。
これでは、もしエリオットがアルバートに恋情を抱いていたとしても、この主従がその想いを成就するのは難しいだろう。
「わたしは男ですし、御主人様の従僕です」
問われることを予想していたのだろうか。間髪置かず、エリオットはきっぱりと迷いなく告げた。
「あなたもかつて従僕としてお勤めだったのですから、公私の間に横たわる境界をよくご存知のはずです。それにわたしは古い型の人間ですから、規則やしきたりに従って生きることしかできません。階級の垣根を越えて、臆さずこちらへ踏み込もうとする御主人様のやり方には、正直…混乱してしまうのです」
微かに揺れた細い肩。
本音の透かし見える言葉は、先の宣言に比べると随分と頼りなく、弱さと疲れすら感じられる。エリオットの職業人としての誇りに抵触するアルバートの執着は、男同士という禁断の関係に対する背徳感にエリオットを引きずり込むだけでなく、彼にとっては異世界からの襲撃にも等しい恐慌をももたらしていたのだ。
これでは、もしエリオットがアルバートに恋情を抱いていたとしても、この主従がその想いを成就するのは難しいだろう。
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