英国紳士の恋の作法

音羽夏生

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英国紳士の恋の作法

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 俯きがちにぽつりぽつりと言葉を紡ぐ様子は途方に暮れた子供のようで可愛らしかったが、焦れたジェイムズは一蹴した。

「だが察するに、君が恋人としてわたしと向き合うには、理由や言い訳といった小細工が必要ということか?」
「小細工で成立する関係って…それは不自然じゃないか。わたしとしてもこの状況は手に余るんだ。だから、」

 ――なかったことにしよう。

 ジェイムズの腕の中に閉じ込められている間、何度も吸われて赤く色づいた唇がそう動く前に、ジェイムズはすかさず釘を刺した。

「待ってやる。君が納得できる答えを出すまで。だから今まで通り私と昼食をともにし、休みの日にはデートもするのだ」

(――そして隙を見せて、私の手に落ちてこい)

 譲歩してもいい、だが退路は断たせてもらう。
 ほっとしたような落胆したような不思議な顔で黙り込んでしまったレジナルドを、それ以上追い詰める気にもなれず、寛大にもジェイムズは持久戦に甘んじることにしたのだ。

 だが。
 待つと言ったのは自分だった。しかし監督生面で接してくれとは一言も言っていない。
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