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第七話 前編
臼井と亀田と栗原の作戦 3
しおりを挟むとても恐い現象だが、犬神絵美の作戦は効果があらわれてきているのかもしれない
繋がった人達の中で、立花桃を意識している存在がこの街に現れだした
結果的に、立花桃と接触したらしい亀田留衣と自然にこの話題ができている
ただ、他に立花桃と繋がっている人物に出会えていないだけだ
そして思うことは、亀田留衣に立花桃について質問してくる人達は、どのような情報でどのような心境で尋ねてきているのか、全く分からないということ
この街にいるはずの人物の情報があまりに無くて、とても不気味に感じる
さらに改めて考えてみると、立花桃が行方不明のような扱いにしているのは、自分たちだけではないのか、という推測もある
警察が動いていない行方不明者は、それに該当するだろうか
調べてはないが、少なくともニュースで見た事はない
「留衣には意外かもしれないけど、友人は多くてね。皆で、立花桃という女性を探しているんだ。正直、名前しか知らないから、顔が分からない分、知ってる人を見つけるところに力を入れてるんだ」
それを聞くなり、2杯目のご飯をかき込んだ亀田留衣は、視線を合わさずに応える
「昔、リサイクルショップでバイトしてた時に、その人と出会ってるんだ。連絡先も交換した」
「実は、それも友人から聞いてる」
「え、まさか猿渡って人と友達なの?」
「ん?誰?」
「…いや、なんでもない。立花さんって呼んでたんだけど、色白でね、凄くスリムな人なんだ」
「バイト以外で会ったことあるの?」
「いや、無いんだよね。俺が未成年だからかな、やっぱり大人な女性には憧れたけど会ってはくれなかった。ただ、メッセージでやりとりはしてて、なんか、悩んでたみたいで」
「何を悩んでたのか聞いた?」
「うん、俺には詳しくは教えてくれなかったけど、危ない人達に利用されていて、もしかしたら自分の命も危ないかもしれないって言ってた」
臼井誠はウーロン茶を飲み干して応える
「え、立花桃って何か危ない仕事してるの?」
まさかとは思うが、と勘繰ってしまう
自分の探している人が、この世にいるのか、と
「なんで未成年の、しかも大して仲が良いわけじゃない俺に、そんなことを教えてくれたのか聞いたんだ」
臼井誠は一つの進展を感じ、黙って聞くことにした
「そしたら、大人になって道を外れたら、元の道に戻るには命を賭けるぐらいの覚悟と苦労がいるんだって。だから、俺にはそういう経験をして欲しくないからだって」
良い話だが、進展らしく感じなかった
「その、的外れかもしれないけど、留衣が仕事を辞めた理由は何だったの?」
「立花さんが教えてくれてたんだ。俺が働いている店を経営する会社は良くないって。もし就職を考えてたら辞めた方が良いって。立花さんは、近い間で突然、自分と連絡が取れなくなったら、亀田くんは私と連絡してたことも、誰にも言わない方が良いって」
「え、でも立花桃はその店に買取で訪れてるんだよね?」
亀田留衣が目を見開いて応える
「なんでそこまで知ってるの?」
「あ、いや、知り合いから聞いてね。立花桃の動向を探っててさ」
「やっぱり、誠さんは猿渡か、もしくは猿渡が言ってた女性と繋がってそうだよね」
犬神絵美のことか?と臼井誠は見当をつけた
そうなれば、猿渡という人物と犬神絵美は繋がっていることになる
臼井誠は頭の整理に入った
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