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第七話 前編
臼井と亀田と栗原の作戦 4
しおりを挟む立花桃は危険に晒されていた
そして、行方不明になっている
ただ、太宰祐徳がこの街に居ると言っていたのに、多くの人と繋がっても立花桃の情報が無い
会ったことがある人物は、なぜか自分の親戚で、連絡を取っていない
犬神絵美は猿渡という人物と繋がっていて、複数で探している可能性がある
そして、最悪、立花桃はこの世にいないかもしれない
だが、それならばなぜ太宰祐徳は自分に立花桃を探させているのか分からない
臼井誠は整理してみたが、改めて悩む
自分は何か根本的な間違いをしているのだろうか
肝心なことを聞き忘れ、肝心なことをしてないのかもしれない
当てずっぽうで動いているから複雑になっているだけなのだろうか
親戚の亀田留衣が今は唯一立花桃と会っていること、雉本穂希が偶然の繋がりではないかもしれないこと、犬神絵美と犬神里美の繋がり…
そういえば、犬神絵美はなぜ立花桃を探しているか聞いたこと無かった、と臼井誠は気付く
「誠さん?大丈夫?」
「あのさ、留衣。立花桃と連絡は繋がらないんだよね?」
「うん、残念だけど2年前から連絡は途絶えてる」
「その、立花桃が言ってたように、リサイクルショップを経営している会社は危ないとこだったのかな?」
「調べたら、あまり良い噂は無かった。言われてた通りに立花さんと連絡取れなくなって、気味が悪くなって辞めたんだよね。だから、しばらくはニュースもチェックしてたけど、何も無かったし、実はネットでも行方不明者の名前を調べててさ。やっぱり立花さんの名前は無かったんだ」
「その経営している会社の名前は?」
「名前は鬼塚って言う会社なんだけど、会社自体が凄く小さいわりには、リサイクルショップだけじゃなくて資源回収業もやっててさ、海外とも取引をしてるみたい。社員は何も教えてくれなかったけどね。普段からみんな死んだような顔してたし、まともな会社じゃないんだろうね」
「そんなに多岐渡って事業をしていて小さな会社…もしかしたら、どこかの子会社かもしれないね」
そういえば、立花桃は危険だと知らせながら、その店を利用していた
「その、買取に来た時の物が相当多かったらしいけど、どんなものだったの?」
「誠さん、怖いぐらい何でも知ってるね」
「後で説明するよ」
「約束だからね。買取で持ってきたものは、一つ一つを覚えているわけじゃないけど、女性が自宅から持って来たとは思えないほど、種類が豊富っていうか、男性が使うようなものもあったかな…とにかく、どれも高額査定だったよ。一応聞いたんだ、大掃除か引越しで出た不用品ですかって。そしたら、言う必要が無いなら言えないって。まあ、立花さんが美人だったからどうでも良かったんだけど、冷静に考えれば怪しいよね」
なるほど、と臼井誠は考える
立花桃が買取で持ち込んだものは盗難品の可能性がある
それが収入源の一つだったのかもしれない
ただ、それをわざわざ危ない店に持ち込んだ理由は何なのか…
「留衣、悪いんだけど、この後で僕の知り合いに会ってくれないかな?」
「誰に?」
「犬神絵美」
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