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第八話 後編
立花桃、発見 9
しおりを挟む約二ヶ月前、犬神絵美の指示で御島崎遊園地の従業員と繋がった記憶がある
ショッピングモールの時も思ったが、情報収集というより、犬神絵美が特別サービスを受ける為のような使い方だった
遊園地を使って立花桃を見つけるという案は、臼井誠も従業員と繋がりを持っていることを記憶していた
ただ、栗原優の力で貸切りにできれば休園状態、従業員は必要ないという考えもあったから、特に重要視してなかった
貸切りを諦めることになった今、従業員の繋がりは必要にはなる
果たして、どうすれば良いのか
「運営中の園内に立花を招いて、従業員に立花を誘導してもらうの。例えば、観覧車に乗ってもらえば好都合ね。話すには良い密室だし、逃げ場も無いから従業員に降りないようにしてもらえば、時間も確保できる」
「…あの、前々から思ってたことがあるんですが」
「なに?」
「僕、立花桃の顔を知らないんです」
赤信号でゆっくり止ろうとした車が急に強く揺れて止まる
栗原優が誤ってブレーキを強く踏んでしまったらしい
「兄貴、それは今更すぎない?」
「ごめん、居場所ばかり頭にあったから、肝心なことを知ろうとしてなかった」
「あんたに教えなかった私らも悪かったけど、知ろうとしない方が罪深いわ」
「ごめんなさい。それで、写真はありますか?」
「今は持ってないけど、今度持ってくるから。ちなみに立花を探す羽目になった時に、姉から特徴ぐらい聞いてなかったの?」
「それが…探すように伝えてきたのは太宰祐徳っていう神で、里美さんからは何も聞かされていませんでした」
「立花を探すってことを姉は知ってるんでしょ?」
はい、と言おうとして臼井誠は言葉を止めた
とんでもない違和感を覚えたのだ
思わず俯きながら両手で顔を覆う
まさか、そんな馬鹿な…
臼井誠は目の前がグラグラと揺れるような感覚に襲われる
「兄貴、大丈夫?」
「あんた具合い悪いの?」
「あの…僕の記憶が曖昧な部分もあるんですが…里美さんの口からは、立花桃の名前は…出て、なかったような…気が」
「は?」犬神絵美が固まってしまう
「いや、記憶違いかもしれませんよ?でも、さっきから自分の中に嫌な予感しかなくて」
「その、太宰っていう神は、絵美っちの姉さんに黙ってるってこと?」
「僕の記憶違いなら良いんだけど、もし隠しているとしたら、何か不都合があるのかもしれない」
「臼井」犬神絵美から低い声で呼ばれる
「はい」怖気付く臼井誠が小さく返事をした
「この方法、嫌いなんだけどさ…姉に電話して」
臼井誠は犬神里美に連絡できることを忘れていた
ただ、犬神絵美がこの方法が嫌いだと言ったように、亡くなったお姉さんと連絡がとれる事に、何か嫌悪感があるのだろうか
大事な家族、姉妹の死を受け入れたものにしか分からないことだ
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