Change the world 〜全員の縁を切った理由〜

香椎 猫福

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第九話 後編

約束 2

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「臼井は、一年後に死ぬことについてどう思ってるの?」


火が着いた線香の先を、手でパタパタさせながら消す犬神絵美がふいに尋ねてきた


「それが…不思議と怖さを感じてなくて」


整然と並ぶ多くの墓石に囲まれた一角に、犬神里美が眠る墓がある


「そうだろうね。あんたと出会ってから今まで、僕が生き長らえる為に立花桃を探して下さい!みたいな必死さが、全く感じられなかったから」


しゃがみ込んで、手を合わせて眼を瞑る犬神絵美の横で、臼井誠も同じように手を合わせ目を閉じてみた
だが、どこかしっくりこない
きっと手を合わせて想う相手が、まるで生きているように今も電話で繋がっているせいだろう


「僕は、人から必要とされずに人生を歩んできました。小学校から大学までの間、卒業をする度に、繋がっていた人達がリセットされていくんです。同窓会に呼ばれるどころか、連絡先を交わした人から連絡がくることはありませんでした。誰も僕の様子なんて気にしてないんです。居るのは、アルバムの中だけ。それを捨てている人がいたら、僕なんか欠けらすら無くなります。僕は皆の中では、死んでる人と差はありません」


犬神絵美が立ち上がり、ポケットに手を突っ込んだ
そして、臼井誠へ睨むように視線を向ける


「あんた、そんな悲しいことをここで言うもんじゃないよ」


「すみません…つい」


「寿命だろうがなんだろうが、亡くなった人を弔いたい人がいるから、こういう場所があるの」


犬神絵美が辺りを見渡しながら語る


「繋がりがないって悲しんでるんだろうけど、繋がってる糸なんて、最初は皆、細いもんだよ。それを、離れたくない人と分かち合いながら、また細い糸を絡めていくの。そうしたら、注意深く意識しなくても、安心できるぐらいにその繋がりが強くなる。大事にしなきゃって思ったり、たまに始まりの糸はどれだったかなって探して、その糸を愛おしく思う時もある」


臼井誠へ視線を戻すと、その表情は悲しんでるというより穏やかなものだった


「だからさ、心配しなくて良いよ。今はまだ、よく見なきゃ分からないだけで、あんたにも繋がってる糸は確かにあるから」


「そうですかね…所詮、能力のおかげですよ。しかも一年限り」


「あんた、私に能力使った?私の記憶にはあんたとの出会いは最近だよ。ネットカフェで声掛けられた時。てことは使ってないんでしょ?」


「その通りです」


「私だけじゃない。栗原も能力無しで繋がってるし、なんなら、捜索中の立花も能力なしに、あんたに近付こうとしてる」


犬神絵美が何を言いたいのか、臼井誠は考える


「分かる?あんたは自分から繋がってきたの。そして切れそうな細い糸をさらに絡めようと必死に絡めてきたの。だからさ、あんたは能力なしに人と繋がる術を知っているってこと。独りぼっちなんて勘違い。しっかり細い糸を見つけて、自分から一本ずつ絡んでいけば、大事な繋がりは必ずできるから」


再び、犬神里美の墓石に目を向ける


「新しい繋がりを作れるのは生きてる人だけ」

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