傍観者を希望

静流

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「話を戻すけど、何が難しいの?」

「えっと、ココで話を戻す気か?」

話を思いっきり逸らしただけに驚いたようで、今更なにも突っ込まなくても消極的な雰囲気が漂っている。

私としては、何でも面白くないと否定的な反応をしてた姉さんの意識を逸らしたかったから中断しただけだ。是非とも詳細が知りたいと考えるのは変だろうか?

「ええ、そのつもりだけど何か差し障りがあるのか?」

「そういう訳ではないが、職人としての意識の問題を軽々しく扱うのは、感心しない」

「問題ない。空間の遊びをどうするかが難しい。客の好みによる分、判断に困る」

騎士団長が訊くものではないと、諫めてきた。

しかし当の本人は、あっさりと応えを寄越した。

内容は客の好みで左右される感性の表現方法のようだ。

仕事である以上、雇用主の意見が第一だ。

そうなると、会話が苦手な庭師にとっては意見の擦り合わせが難しいというのが本音だろう。

「それなら、完成予定図を描いてみたらどう?その上で、どうした方がいいか訊けば相手の好みや望みを判断し易いんじゃないかな」

「まあ、どうするかの方向性が解り易い方法だな」

「口で説明しても想像するものが違えば、後々揉めごとに発展しかねないからね。絵で描いた方が、お互い同じものを見て判断できるから良いと思うんだけど」

「今度試してみる。実際に揉めて、親方が場を治めた」

「参考になったのなら良かったけど、揉めたの大丈夫?」

「しばらく見習いに戻るだけで、問題ない」

「待ちなさい。要するに、親方が手を尽くして事なきを得た結果、手打ちにということでしょう?充分問題行動よ」

「そうですね。また同じような事態を引き起こしたら、破門と言われてそうですが」

「破門とは言われてない」

揉めたと聴いて嫌な予感がしたが、揉めたどころか訴訟の一歩手前だったのだろう。

本人はよく理解してないようだが、親方も持て余している感じがする。

「次はない」と言われたのに軽く受け止めている。本人以外全員ゲンナリとなった。

ここまでくると、芸術家肌を通り越して奇人変人の類いだろう。

周りにいる親方や仲間は、いいように振り回されている。

苦労が見てとれそうな状況では、先が思いやられての言葉ともとれる。

「外野が騒いだところで仕方ないよ。それより、お茶飲めそう?」

本人は全く気にしてないなら、静観する他ないと頼んでいたお茶の方へ意識を向けた。

「ええ。丁度いい状態よ。口にあうと良いのだけど」

姉さんが入れたお茶を配ってまわる。

澄んだ綺麗な色合いにお茶のいい香りが鼻をくすぐる。

口に含めば芳しい香りが鼻を抜けていく。

ほうっと息を吐き、思わず美味しいと呟いていた。
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