46 / 292
46
しおりを挟む
「お疲れ様。上手くいったか?」
「はい。特に疑われることもなく、受理されました。逆に拍子抜けしたくらいです」
「其れはそれで考えものだが、これで何とか落ち着くだろう」
緑雲宮でライトからの報告を聴き、肩から力が抜ける。
総長の元へ使いに出したが、トンボ帰りしてきたライトに驚かされた。
何か不測の事態にでもなったのかと一瞬固まったが、妙に機嫌が良いから杞憂かと気付いていた。それでも、言葉で聴いて漸く安心できたのだ。
トンボ帰りしてきたライトは、犬の様に尻尾を振らんばかりの様子だ。
要するに褒めて褒めてと目を輝かせて此方を見てるのだ。
冷静に見えるのだが、中身は外見に反している。
ライトが精霊だと知って、人払いがされている。
この姿を見ない方が、幻想に気付かず幸せかもしれない。
「でも良かったのですか、あの場は納得しても後で不審に思うのではないでしょうか?」
「それは構わないよ。例え不審に思ったところで、現状が改善されていれば問題ない」
「まあ、敢えてことを荒げようとは思わないでしょうが、セイ様が反感を買いませんか?自分たちで対処できなかったのを棚に上げて逆恨みされては損ですよ」
「気付く相手によるかな。総長なら感謝されるし、ステファンならプライドが傷付けられたと怒るかな」
苦笑してしまう。
ステファンを推したのは自分だが現状に頭をいためていた。
だが、長い目で見れば適任だと思っている以上、多少の確執が生まれたとしても領主としてしっかり努めてくれればそれでいい。
「どちらにしても、自分で選んだ結果だ。甘んじて受けるよ」
そう言えば、ライトは面白くなさそうだ。
この場にアルフレッドが居ても同じように不快感を示すだろう。
ミンスファ領の現状を把握しているようで、ステファンの株が下降の一途だ。
妙に精霊を勧めてくるから、問いただした結果ライトの方が適任だと考えてるようだ。
今回も、本当は補佐役としてライトを推薦してきたのを却下して使者として送った。
確かにライトなら即戦力になるだろう。
しかし、任期10年で次世代を育てるのはステファンの方が向いている。
ライトの優先事項は私でミンスファ領ではない。
それを踏まえれば、ライトでは危ういのだ。
私にとって邪魔だと判断して潰すこともありえる。
そんな懸念を抱く相手に領主を任せられない。
知らぬが仏だが、陛下や宰相殿の方からも圧が微妙に掛かっている。
若過ぎる、経験値が低い上に柔軟性に欠ける等の意見も出ている。
始めから解っていた事を、言いたてて何になるんだろう。
私は3才で右も左も判らない状態から領主をしていた。
そう考えれば、成人していて実務経験があるのだから、随分ましだろう。
「セイ様は人が良過ぎます。恩を売っても罰は当たらないのに。それに、あの改善案は以前の処理がいかに効率的かよく解るのに、何で元に戻そうとしないのか理解に苦しみます」
「ライトの方が怒ってどうするんだ。ステファンの対抗意識が邪魔をするんだろう。たとえ理解しても素直に認められないんだと思うよ」
「上に立つ者がそれでは、示しがつきません。全く、どこまで甘ちゃんなんだか」
プリプリと怒りだして忙しない。
だが、自分の為に怒ってくれるのは存外嬉しいものだ。
「ギルド長達は理解しているから、今後も上手くやってくれるだろう。ライトのお蔭で総長たちの様子が探れて助かったよ。今後とも宜しく頼むね」
顔繋ぎもできたから、今後もお願いする事を告げた。
想定通りだが、快く請負ってくれた。
面倒ごとを頼んでいるのに、頼られるという一点が自尊心を擽るようだ。
解ってやっていても、流石に後ろめたくなる喜びように罪悪感が湧く。
なんとなく頭を撫でてしまうが、もっとと手に擦り付けてくる様は妙に可愛い。
もしや獣化したら猫科か狼の一種だろうかと思い、確認すれば白狼と判明した。
道理で、喜んでる時に尻尾を振っている気がするわけだと笑いがでた。
「はい。特に疑われることもなく、受理されました。逆に拍子抜けしたくらいです」
「其れはそれで考えものだが、これで何とか落ち着くだろう」
緑雲宮でライトからの報告を聴き、肩から力が抜ける。
総長の元へ使いに出したが、トンボ帰りしてきたライトに驚かされた。
何か不測の事態にでもなったのかと一瞬固まったが、妙に機嫌が良いから杞憂かと気付いていた。それでも、言葉で聴いて漸く安心できたのだ。
トンボ帰りしてきたライトは、犬の様に尻尾を振らんばかりの様子だ。
要するに褒めて褒めてと目を輝かせて此方を見てるのだ。
冷静に見えるのだが、中身は外見に反している。
ライトが精霊だと知って、人払いがされている。
この姿を見ない方が、幻想に気付かず幸せかもしれない。
「でも良かったのですか、あの場は納得しても後で不審に思うのではないでしょうか?」
「それは構わないよ。例え不審に思ったところで、現状が改善されていれば問題ない」
「まあ、敢えてことを荒げようとは思わないでしょうが、セイ様が反感を買いませんか?自分たちで対処できなかったのを棚に上げて逆恨みされては損ですよ」
「気付く相手によるかな。総長なら感謝されるし、ステファンならプライドが傷付けられたと怒るかな」
苦笑してしまう。
ステファンを推したのは自分だが現状に頭をいためていた。
だが、長い目で見れば適任だと思っている以上、多少の確執が生まれたとしても領主としてしっかり努めてくれればそれでいい。
「どちらにしても、自分で選んだ結果だ。甘んじて受けるよ」
そう言えば、ライトは面白くなさそうだ。
この場にアルフレッドが居ても同じように不快感を示すだろう。
ミンスファ領の現状を把握しているようで、ステファンの株が下降の一途だ。
妙に精霊を勧めてくるから、問いただした結果ライトの方が適任だと考えてるようだ。
今回も、本当は補佐役としてライトを推薦してきたのを却下して使者として送った。
確かにライトなら即戦力になるだろう。
しかし、任期10年で次世代を育てるのはステファンの方が向いている。
ライトの優先事項は私でミンスファ領ではない。
それを踏まえれば、ライトでは危ういのだ。
私にとって邪魔だと判断して潰すこともありえる。
そんな懸念を抱く相手に領主を任せられない。
知らぬが仏だが、陛下や宰相殿の方からも圧が微妙に掛かっている。
若過ぎる、経験値が低い上に柔軟性に欠ける等の意見も出ている。
始めから解っていた事を、言いたてて何になるんだろう。
私は3才で右も左も判らない状態から領主をしていた。
そう考えれば、成人していて実務経験があるのだから、随分ましだろう。
「セイ様は人が良過ぎます。恩を売っても罰は当たらないのに。それに、あの改善案は以前の処理がいかに効率的かよく解るのに、何で元に戻そうとしないのか理解に苦しみます」
「ライトの方が怒ってどうするんだ。ステファンの対抗意識が邪魔をするんだろう。たとえ理解しても素直に認められないんだと思うよ」
「上に立つ者がそれでは、示しがつきません。全く、どこまで甘ちゃんなんだか」
プリプリと怒りだして忙しない。
だが、自分の為に怒ってくれるのは存外嬉しいものだ。
「ギルド長達は理解しているから、今後も上手くやってくれるだろう。ライトのお蔭で総長たちの様子が探れて助かったよ。今後とも宜しく頼むね」
顔繋ぎもできたから、今後もお願いする事を告げた。
想定通りだが、快く請負ってくれた。
面倒ごとを頼んでいるのに、頼られるという一点が自尊心を擽るようだ。
解ってやっていても、流石に後ろめたくなる喜びように罪悪感が湧く。
なんとなく頭を撫でてしまうが、もっとと手に擦り付けてくる様は妙に可愛い。
もしや獣化したら猫科か狼の一種だろうかと思い、確認すれば白狼と判明した。
道理で、喜んでる時に尻尾を振っている気がするわけだと笑いがでた。
0
あなたにおすすめの小説
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる