傍観者を希望

静流

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「お疲れ様。上手くいったか?」

「はい。特に疑われることもなく、受理されました。逆に拍子抜けしたくらいです」

「其れはそれで考えものだが、これで何とか落ち着くだろう」

緑雲宮でライトからの報告を聴き、肩から力が抜ける。

総長の元へ使いに出したが、トンボ帰りしてきたライトに驚かされた。
何か不測の事態にでもなったのかと一瞬固まったが、妙に機嫌が良いから杞憂かと気付いていた。それでも、言葉で聴いて漸く安心できたのだ。

トンボ帰りしてきたライトは、犬の様に尻尾を振らんばかりの様子だ。
要するに褒めて褒めてと目を輝かせて此方を見てるのだ。
冷静に見えるのだが、中身は外見に反している。
ライトが精霊だと知って、人払いがされている。
この姿を見ない方が、幻想に気付かず幸せかもしれない。

「でも良かったのですか、あの場は納得しても後で不審に思うのではないでしょうか?」

「それは構わないよ。例え不審に思ったところで、現状が改善されていれば問題ない」

「まあ、敢えてことを荒げようとは思わないでしょうが、セイ様が反感を買いませんか?自分たちで対処できなかったのを棚に上げて逆恨みされては損ですよ」

「気付く相手によるかな。総長なら感謝されるし、ステファンならプライドが傷付けられたと怒るかな」

苦笑してしまう。
ステファンを推したのは自分だが現状に頭をいためていた。
だが、長い目で見れば適任だと思っている以上、多少の確執が生まれたとしても領主としてしっかり努めてくれればそれでいい。

「どちらにしても、自分で選んだ結果だ。甘んじて受けるよ」

そう言えば、ライトは面白くなさそうだ。
この場にアルフレッドが居ても同じように不快感を示すだろう。
ミンスファ領の現状を把握しているようで、ステファンの株が下降の一途だ。

妙に精霊を勧めてくるから、問いただした結果ライトの方が適任だと考えてるようだ。
今回も、本当は補佐役としてライトを推薦してきたのを却下して使者として送った。

確かにライトなら即戦力になるだろう。
しかし、任期10年で次世代を育てるのはステファンの方が向いている。

ライトの優先事項は私でミンスファ領ではない。
それを踏まえれば、ライトでは危ういのだ。
私にとって邪魔だと判断して潰すこともありえる。

そんな懸念を抱く相手に領主を任せられない。

知らぬが仏だが、陛下や宰相殿の方からも圧が微妙に掛かっている。

若過ぎる、経験値が低い上に柔軟性に欠ける等の意見も出ている。
始めから解っていた事を、言いたてて何になるんだろう。

私は3才で右も左も判らない状態から領主をしていた。
そう考えれば、成人していて実務経験があるのだから、随分ましだろう。

「セイ様は人が良過ぎます。恩を売っても罰は当たらないのに。それに、あの改善案は以前の処理がいかに効率的かよく解るのに、何で元に戻そうとしないのか理解に苦しみます」

「ライトの方が怒ってどうするんだ。ステファンの対抗意識が邪魔をするんだろう。たとえ理解しても素直に認められないんだと思うよ」

「上に立つ者がそれでは、示しがつきません。全く、どこまで甘ちゃんなんだか」

プリプリと怒りだして忙しない。
だが、自分の為に怒ってくれるのは存外嬉しいものだ。

「ギルド長達は理解しているから、今後も上手くやってくれるだろう。ライトのお蔭で総長たちの様子が探れて助かったよ。今後とも宜しく頼むね」

顔繋ぎもできたから、今後もお願いする事を告げた。
想定通りだが、快く請負ってくれた。
面倒ごとを頼んでいるのに、頼られるという一点が自尊心を擽るようだ。
解ってやっていても、流石に後ろめたくなる喜びように罪悪感が湧く。

なんとなく頭を撫でてしまうが、もっとと手に擦り付けてくる様は妙に可愛い。
もしや獣化したら猫科か狼の一種だろうかと思い、確認すれば白狼と判明した。

道理で、喜んでる時に尻尾を振っている気がするわけだと笑いがでた。
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