傍観者を希望

静流

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アルフレッドから貰った分を、先程よりも味わって食べる。

如何しても、顔がふにゃっとなる。何度食べてもやっぱり美味しい。

ふうっと息をはき、目を開ければ衆目を集めている。

ぎょっとして思わず引いてしまう。

「ごめんなさい。あんまりにも美味しそうにたべるから。つい見てしまうの」

「幸せそうな顔で食べられると嬉しくてな、悪かった」

「済まない。私の分も残しておけば良かった」

「茶菓子が本当に好きなんだな」

「「…」」

食べている姿をガン見していたと判る言葉に、顔が赤くなる。

「もう充分味わったから、気にしないでくれ」

返答に困り、何とか捻りだした言葉も恥ずかしさを倍増させる。
更に真っ赤になっている顔を逸らす。

そんな行動を周りは生暖かい目で見ていた。

子供らしい行動を出来ない環境にいたせいか、素に戻ると擦れていない純朴さが出て可愛いのだ。言葉でいえば、隠してしまうから誰も教えていない。

此ればかりは、セイ様の信頼を得た者だけの特権。

他の者に譲る気は誰もないが、増加するのは仕方がない。
その点だけが諦観しきれない苛立ちを生む。

アルフレッドとグレンは、自分たちの知らないセイ様の一面に驚いていた。

これほど、自然体で無防備な態度をとられた事がない。

何時も何処かよそ行き対応で、完全に寛いでいる姿に縁のない方だと履き違えていた。

呆然としていたが、グレンの皿にはまだ手付かずの茶菓子が鎮座している。
チラリと見遣れば、頷かれ半分に割って寄越してきた。

味わってみれば、素朴な味が口に広がる。
優しく何処か懐かしい、そんな感想が浮かぶ。

自分が日頃作っている茶請けの菓子とは、方向性も違い過ぎる。
何時も礼は言われるが、口に合わなかったのではと気になる。

セイ様が「姉さん」と呼ぶ男装の麗人が、お茶を飲むよう目で促している。

言われるがままに、お茶を口にすれば、相乗効果に目を見張る。
この茶菓子とお茶は、一緒に頂いてこそお互いが活きる。

だが、このお茶に自分の作る菓子は合わない。
同様に、何時ものお茶にこの茶菓子は合わないだろう。

静かに助言を呈してくれた麗人へ感謝を込めて一礼した。
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