傍観者を希望

静流

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その後は、花繋がりで商人が新種の変わった花をおもしろ可笑しく話し、時折庭師が補足して和やかにすごした。

その頃には、アルフレッド達も馴染んできて話に混じっていた。

そろそろ解散するかという所で、セイ様が爆弾を落とした。

「その茶菓子を作っている子達も、次の茶会には参加するからね」

「えっ!ちょっと待って、いつの間にそんな仲なのよ」

「ライが愚痴ってなかったのか?ライに会って茶菓子のこと聴いてたんだろ?」

「薬師の子が茶菓子を手土産に持って行ったと聴いただけよ。自分が行きたかったとは漏らしてたけど」

「口が堅いといえるが、秘密主義だな」

「薬師の口が軽い方が問題。だが騎士団長は見習え」

「仕事に関しては守秘義務があるが、日常生活まで気が回らないだけだ」

ムッとして言い返していたら肩を叩かれる。

「ちょっと!論点がズレてるわよ、単細胞なんだから」

庭師が舌打ちしてのを見て、態と煽られたと解る。

セイ様への追求を逸らす目的だろうが、私の扱いが酷い。

「その前に子達ってことは、一人じゃないんですよね?」

「ああ、ライトとライカの二人で薬師塔勤務。ミンスファ領へのお遣いも頼んでる」

面倒なので、追加情報を纏めて開示しておいた。

「あら、茶菓子職人はライカなのね」

「姉さんの眷属でもあるから、知っていたのか?」

「それほど親しくはないけど、料理の腕が職人並だと聴いたことがあるだけよ」

なるほどねと茶菓子を思い出しながら頷いている。
噂の真偽を一人で検証しているようだ。

「ライトは私の眷属ですね。確か情報収集に長けていたかと」

商人も思い出したようで確認してくる。

「そう、アルフレッドが気に入ってる。頭の回転も良いみたいだよ」

「それは、少々妬けますね。二人ともライの眷属でもあるんですよね?」

褒めれば面白くなさそうだが、彼らの有能性は知っているようだ。
つまらなそうに、突っ込めそうな話題を振ってくる。

「ああ、特殊なタイプだが、気のいい子達だ。きっと気にいるよ」

ニッコリと返せば、皆黙ってしまう。

別段威圧したわけでもないから、引かれるとそんなに怖いかと顔を撫でてしまった。
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