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「陛下?私の一存で許可しましたが、今更ながらよかったのでしょうか?」
ライカが転移して騒ぎになったのなら、今のは不味かったかと確認すれば、諦観混じりに「今更、不味いと言っても仕方なかろう」と溜息を漏らしている。
「左様ですな、もう破れかぶれです。一度あることは、二度三度あったところで大差ないです。ですが、今日限りに願いますよ」
宰相殿は、投げやりな肯定をしながらも、最後に釘を刺すのは忘れていない。
「ご迷惑をお掛けします。恐らく、想定通りなら陛下方にとっても、吉報になるやもしれません」
まあ、その代償も大きいくなりそうだが。
陛下も、今回ばかりは顔を顰め「凶報の間違いではないか」とボヤいている。
「陛下。この際、吉報と割切りませんか、序でに国内の膿みも出しきりたいものです」
宰相殿は、もう次の段階を想定し険しい表情になっている。
大臣のことは、既に切り捨てた雰囲気だが、更に芋づる式に捕らえるつもりのようだ。
「少し訊きたいのだが、その大臣はどんな人物なんだ?悪いが、全く縁もゆかりもないだけに、今一つよく分からない」
唆されたにしろ、何も知らない人物から、攻撃されるのは気持ち悪いし、スッキリしない。何某かの理由があった方が、まだマシに思える。
「人物像ですか…、良くも悪くも目立たない人で、特にこれといった特徴もなく、凡庸な大臣です。ああ。強いて言えば、穏和で落ち着いた口調で話される点が、部下に人気なようです」
凡庸なのに大臣?何それと言いたくなる。
元々違和感のある人物だが、可笑し過ぎやしないか?
陛下に視線を遣るが、別段引っ掛かる点もなさそうで、何処か暇そうにしている。
目がスッと細くなり、違う領域の視点に切り替わる。
眼を凝らせば、残滓が確認できた。やはり、とんでもない大臣のようだ。
本当に普通の大臣なら、魔力で幻視や幻惑に魅了、ついでに変装までこなさない。
精霊にまで有効な幻惑で、自分への注意を逸させ、故意に情報操作している。
ここ迄くれば、大国の間者で間違いない。
この国、ちょろ過ぎないか?尻尾を掴むどころか、入り込まれて情報が、ただ漏れしている。
「ライ。お前も気付いてないのか?幾ら何でも、可笑しいだろう」
呆れ果てて、精霊王に八つ当たり気味に訊けば、大臣のことかと笑っている。
全て承知の上で、交渉を進めてきたのだと確信した。
半眼で憮然とすれば、機嫌をとるように頭を撫でる。
誤魔化す気かと、ギロッと睨んでも、どこ吹く風で効果もない。
「ライ嫌い!私の苦悩と気遣いを返せ」
拗ねて子供染みた駄々をこねる。
今まで飄々としていたライが、急に慌てて詫びてくる。
言葉を重ね、機嫌をなおせと気遣いすらみせる。
結果的に、陛下方に掛けられた魔法の解除を、ライがするで落ち着いた。
ライカが転移して騒ぎになったのなら、今のは不味かったかと確認すれば、諦観混じりに「今更、不味いと言っても仕方なかろう」と溜息を漏らしている。
「左様ですな、もう破れかぶれです。一度あることは、二度三度あったところで大差ないです。ですが、今日限りに願いますよ」
宰相殿は、投げやりな肯定をしながらも、最後に釘を刺すのは忘れていない。
「ご迷惑をお掛けします。恐らく、想定通りなら陛下方にとっても、吉報になるやもしれません」
まあ、その代償も大きいくなりそうだが。
陛下も、今回ばかりは顔を顰め「凶報の間違いではないか」とボヤいている。
「陛下。この際、吉報と割切りませんか、序でに国内の膿みも出しきりたいものです」
宰相殿は、もう次の段階を想定し険しい表情になっている。
大臣のことは、既に切り捨てた雰囲気だが、更に芋づる式に捕らえるつもりのようだ。
「少し訊きたいのだが、その大臣はどんな人物なんだ?悪いが、全く縁もゆかりもないだけに、今一つよく分からない」
唆されたにしろ、何も知らない人物から、攻撃されるのは気持ち悪いし、スッキリしない。何某かの理由があった方が、まだマシに思える。
「人物像ですか…、良くも悪くも目立たない人で、特にこれといった特徴もなく、凡庸な大臣です。ああ。強いて言えば、穏和で落ち着いた口調で話される点が、部下に人気なようです」
凡庸なのに大臣?何それと言いたくなる。
元々違和感のある人物だが、可笑し過ぎやしないか?
陛下に視線を遣るが、別段引っ掛かる点もなさそうで、何処か暇そうにしている。
目がスッと細くなり、違う領域の視点に切り替わる。
眼を凝らせば、残滓が確認できた。やはり、とんでもない大臣のようだ。
本当に普通の大臣なら、魔力で幻視や幻惑に魅了、ついでに変装までこなさない。
精霊にまで有効な幻惑で、自分への注意を逸させ、故意に情報操作している。
ここ迄くれば、大国の間者で間違いない。
この国、ちょろ過ぎないか?尻尾を掴むどころか、入り込まれて情報が、ただ漏れしている。
「ライ。お前も気付いてないのか?幾ら何でも、可笑しいだろう」
呆れ果てて、精霊王に八つ当たり気味に訊けば、大臣のことかと笑っている。
全て承知の上で、交渉を進めてきたのだと確信した。
半眼で憮然とすれば、機嫌をとるように頭を撫でる。
誤魔化す気かと、ギロッと睨んでも、どこ吹く風で効果もない。
「ライ嫌い!私の苦悩と気遣いを返せ」
拗ねて子供染みた駄々をこねる。
今まで飄々としていたライが、急に慌てて詫びてくる。
言葉を重ね、機嫌をなおせと気遣いすらみせる。
結果的に、陛下方に掛けられた魔法の解除を、ライがするで落ち着いた。
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