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「そうではなく、騎士団に捕縛命令を許可してくれれば、即座に捕らえられます。既に配置済みですから」
「配置済みって…一体何をしているんです。一応訊きますが、他に何かされていますか?」
「証拠を押さえています。また、ライトも情報と物証を持ち帰ってくるかと」
宰相殿は、何か変な物でも飲み込んでしまった、かのような珍妙な表情になっている。
「…そうですか、仕事が早いと言うべきなんでしょうが、お膳立てされ過ぎるのも考えものですね。元大臣の捕縛を許可します。手配をお願いします」
疲れたように命令を下す。
伝令を依頼してくるのは、さぞ不本意だろうが、精霊を介していると気付いているだけに、私に言う方が早いと判断した結果だ。
未だに腑抜け状態の陛下よりは、冷静に現状打開を図っている。
長年、陛下の懐刀をしているだけのことはある。
念話で、ランに捕縛許可を得たと伝えれば、嬉しそうな高揚した念話が返される。
鬱憤が溜まっていたようで、嬉々として捕縛している。
相手の身を心配する義理はないが、戦闘狂が暴走すれば洒落にならない。
一抹の不安を抱くが、あれでも騎士団長だから問題ないだろうと、相手を信用する事にした。
多少の私怨もあり、敢えて目を瞑った部分もあったが、その辺はご愛敬願いたいところだ。
暫くして、捕縛完了の報告が念話で伝わってきた。
妙に爽やかな報告に、何をしたんだかと気になるが、突っ込んでも仕方ないと後回しにする。
「無事完了した様です。取り調べ等はお任せしますが、一応魔力封じの器具を付けさせています」
「報告をありがとうございます。色々とお手数をお掛けして申し訳ありません」
礼を言われるが、何処となく嫌味っぽく、刺々しい感じだ。
采配を振るうのを邪魔されたのが、よほど面白くないようだが、礼節に反する真似もしない。
「手間を掛けさせたが、こうなるとセイ殿の願いは、どう関係してくるのだ?」
いつの間にか復活していた陛下が、訝し気に問いかけてくる。
「その大臣擬きは、義母にも接触して唆していたんですよ。いい操り人形だったかと」
肩を竦めて軽く告げたが、陛下の顔が一気に険しくなり、此方を見据えてくる。
「今回は一体何をしでかしたんです?あの者の真意をご存知のようですね」
慇懃に訊いてくるが、尋問と大差無い。挙句に、炯々とした目を向けられる。
私が何か悪い真似でもしたように勘違いしそうだ。
「陛下。私に怒りを向けるのは筋違いですから、お辞め下さい。私は被害者で、加害者ではありません!」
身を引き気味に訴えれば、目を瞬いて「失礼した」と詫びて乗りだしていた身を起こしている。半ば無意識にしていたようだ。
「先に言っておきますが、実害はまだ何も無いです。今度領内でするバザーで、妨害行為を計画していたようですが、違和感があったので先手を打っています」
バザーという、何とも庶民的な内容に驚いているようだ。
国家レベルから、一気に落ちた感じは否めない。
苦笑して、義母らしくない方法が、足掛かりになり調査していた事を説明した。
大臣擬きはついでだったが、逆に大物の本筋になった件には、二人とも渋面になっていた。
「義母らしくないとは、意味深な気もするが過去にも色々あったのか?」
「配置済みって…一体何をしているんです。一応訊きますが、他に何かされていますか?」
「証拠を押さえています。また、ライトも情報と物証を持ち帰ってくるかと」
宰相殿は、何か変な物でも飲み込んでしまった、かのような珍妙な表情になっている。
「…そうですか、仕事が早いと言うべきなんでしょうが、お膳立てされ過ぎるのも考えものですね。元大臣の捕縛を許可します。手配をお願いします」
疲れたように命令を下す。
伝令を依頼してくるのは、さぞ不本意だろうが、精霊を介していると気付いているだけに、私に言う方が早いと判断した結果だ。
未だに腑抜け状態の陛下よりは、冷静に現状打開を図っている。
長年、陛下の懐刀をしているだけのことはある。
念話で、ランに捕縛許可を得たと伝えれば、嬉しそうな高揚した念話が返される。
鬱憤が溜まっていたようで、嬉々として捕縛している。
相手の身を心配する義理はないが、戦闘狂が暴走すれば洒落にならない。
一抹の不安を抱くが、あれでも騎士団長だから問題ないだろうと、相手を信用する事にした。
多少の私怨もあり、敢えて目を瞑った部分もあったが、その辺はご愛敬願いたいところだ。
暫くして、捕縛完了の報告が念話で伝わってきた。
妙に爽やかな報告に、何をしたんだかと気になるが、突っ込んでも仕方ないと後回しにする。
「無事完了した様です。取り調べ等はお任せしますが、一応魔力封じの器具を付けさせています」
「報告をありがとうございます。色々とお手数をお掛けして申し訳ありません」
礼を言われるが、何処となく嫌味っぽく、刺々しい感じだ。
采配を振るうのを邪魔されたのが、よほど面白くないようだが、礼節に反する真似もしない。
「手間を掛けさせたが、こうなるとセイ殿の願いは、どう関係してくるのだ?」
いつの間にか復活していた陛下が、訝し気に問いかけてくる。
「その大臣擬きは、義母にも接触して唆していたんですよ。いい操り人形だったかと」
肩を竦めて軽く告げたが、陛下の顔が一気に険しくなり、此方を見据えてくる。
「今回は一体何をしでかしたんです?あの者の真意をご存知のようですね」
慇懃に訊いてくるが、尋問と大差無い。挙句に、炯々とした目を向けられる。
私が何か悪い真似でもしたように勘違いしそうだ。
「陛下。私に怒りを向けるのは筋違いですから、お辞め下さい。私は被害者で、加害者ではありません!」
身を引き気味に訴えれば、目を瞬いて「失礼した」と詫びて乗りだしていた身を起こしている。半ば無意識にしていたようだ。
「先に言っておきますが、実害はまだ何も無いです。今度領内でするバザーで、妨害行為を計画していたようですが、違和感があったので先手を打っています」
バザーという、何とも庶民的な内容に驚いているようだ。
国家レベルから、一気に落ちた感じは否めない。
苦笑して、義母らしくない方法が、足掛かりになり調査していた事を説明した。
大臣擬きはついでだったが、逆に大物の本筋になった件には、二人とも渋面になっていた。
「義母らしくないとは、意味深な気もするが過去にも色々あったのか?」
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