傍観者を希望

静流

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「想像にお任せしますが、それにつけ込んで大臣擬きは領内で問題を犯し、ステファンの評価を落とすのが目的だったようです。結果、ミンスファ領を国が管理すれば、大国にとって思う壷だったでしょう」

そこまで言えば、理解したようだ。

「狙いは其処か…。確かに大国の主張通りの状況だが、何とも一筋縄ではいかない筈だ。迂遠過ぎる」

陛下はげんなりとボヤくが、原因が自分だけに微妙だ。

「執念深い国ですが、姑息で強かでいて細やかでもあり、遣手ですね」

宰相殿の至っては、相手の力量を称賛している。

何処か、他人事のような感想に成り下がっているようにも聴こえるが…。


「まあ、その辺は陛下方にお任せします。ただ、つけ込まれた方の義母に関しては、穏便に片を付けて頂けないでしょうか?」

「ふむ、穏便にというが…具体的にはどうして欲しいのかな」

さほど重大な事ではないようで、気楽な態度で振ってきた。

「恐らく近日中に、義兄が謁見を求めてくる筈です。その話を聴いた上で、判断してくれませんか?」

「曖昧な条件だな。雲を掴むように捉えどころがない。せめて、期間を区切ってくれ」

「では、今日から3日間の猶予をお願いします」

「まあ妥当なところだが、嘆願か極刑の希望でなくても、本当に構わないのか」

心底不思議そうに問われるのも、分からないではない。

しかし、両極端な選択肢を示されても困るだけだ。


「陛下、その二択に何か意味があるのか、と逆に質問させて頂きたい位ですよ」

呆れ気味に逆に話しを振るが、あっさりと躱されてしまった。


「ごく一般的な反応を上げただけだが?セイ殿は、よほど突っ込まれたくないようだな」

裏目に出て余計に引込みがつかない。言われれば確かに、交渉してまで欲しいのが猶予では割に合わない提案だ。

其処までするなら、嘆願が一番ありえるし、私怨を晴らす為に何がなんでも極刑というのも頷ける。

私の場合には、どちらかといえば後者を選択するなら、然もありなんと肯定されそうだ。


「一応家族ですから、これでも微妙なんですよ、察して下さい」

肩を竦めてみせるが「名目上では家族だが、交流もないだろう」と呆れられる。


「確かにそうですが、私の所為で没落や断絶されるのは、寝覚めが悪いんですよ。一応、義兄は真面な方の様ですし、良い当主になりそうですから、勿体無いかと」

「つまり、起死回生の機会だけは与えたいということか。それもまた、随分と人の良いことで」

「えらく含みのある言いようですね。期限付きの機会を与えても、どう転ぶかは本人次第ですから、それほど良心的でもないのはお解りでしょう?」

「セイ殿が、不確かな賭けをするとは思えないのでね。ある程度の、勝算があってのことではないか」

「五分五分の勝算では、運任せの色合いが強いですよ。後は、人柄を加味するくらいですから」

「噂程度の人柄に賭けるというのも、いい度胸だが、何でそれほど肩入れするのだ?」

「単に領民が迷惑を被らない方に、助力したいだけで他意はないですよ」

買い被らないでくれと、機先を逸らす。

まあ、そういう事にしておこうと、形だけでも納得してくれた。
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