傍観者を希望

静流

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部屋を移動し東屋での茶会となった。

「セイ様、学園の内情を知りたいと耳にしましたが、本当でしょうか?」

お茶が配り終わったのを確認して、口火を切ったのはドミニクだった。

「その通りですが、一体どこで耳にされたのです?昨日から調査を開始したばかりで、知れ渡るには早くないですか」

呆れ混じりに見渡せば、バツの悪そうな顔をして互いに目配せしている。


オズオズと言葉を濁しながらの説明によれば、侍従からの情報だそうだ。

やはり、アルフレッドかと、涼しい顔で控えている方を見遣る。

軽く首肯する太々しさが憎らしい。


「セイ様、そんな事より、何で我らに話を振ってくれないんです。水臭いじゃないですか!学生側の情報なら幾らでも入手できるのに、酷いですよ」

むくれて文句を言ってくるのは、第三王子のアスカルトだ。

騎士団に入り浸っているだけに、気性が激しく、闘争心が強い。

鑑定で、破壊王若しくは覇王の要素あり、と出るだけはある。


「アスカルト、苦情を言い募るのは失礼ですよ。ですが、内情を知るには学生の情報網が、一番効率的なのは確かです。御一考下さい」

宥めるようで、しっかり後押しするのは、第四王子のリラティス。

アスカルトとは双子で、弟の方だが、真逆で魔法に特化し、剣術には適性がない。

穏和で平和主義、鑑定でも治癒能力が高い、非戦闘型となっている。


「少しは落ち着きなさい。話には、順序というものがあるでしょう」

先走る二人を制しているのが、第二王子のブランディア。

外戚に一番力があるが、病弱の為に王位から遠いとも噂されている。

虚弱体質だが、頭脳明晰の軍師型だ。

実際に、上に立つより補佐役を好んでいる節がある。


「ブラン、一つ訊くが、何で全員で来たんだ?」


「セイ様、お騒がせして申し訳ありません。ただ、示し合わせてお訪ねしたのではなく、下で一緒になってしまっただけなんです。故に、理由はありません」

暗に、みんな抜け駆けを図った筈が、失敗して全員集合になったと明かしている。

結果、仲間外れを避けるために残り、自己主張に精を出すことに計画を変更したのだ。


「学生側の情報を把握しているにしても、ドミニクとブランは入学してない筈だが、違ったか?アスとリラは一応学生だが、ほぼ行ってないだろう」


内情に詳しいと主張されても、情報の真偽を疑う必要があるなら、実際にキチンと授業を受けている学生に当たった方がマシだろう。

だが、王族ならではの抜け道で、側近候補から内情は聴いているというのだ。


「折角、全員揃っているのですから、把握している情報を提示し合えば、間違いはないかと判断したのですが…。不要でしょうか?」

総括するようにドミニクが、最後に訊いてくる。

どこか遠慮がちに尋ねられると、断り難い。

本人にその気がなくても、上手い立ち回りで、これも一種の才能だ。

流石、鑑定に調停役と、なっているだけのことはある。


「お茶が、冷めないうちに始めようか。ああ、茶菓子もあるから。其方も、好きに取ってくれて構わないから」

一瞬、キョトンと皆してなってしまう。

だが、茶会の題材が情報交換だと察すると、我先に知っている情報を公開し出した。
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