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「セイ様、宜しかったのですか?」
「いい訳でもないが、一概に悪いと責めるのも違うだろう」
嘆息を零し、怠惰な格好で座るが、誰も注意してこない。
精神的に疲れ果て、出来ればこのままボーとしていたい。
「公爵家を一つ処罰しても無意味だよ。地下に潜られても困るし、一気に片を着けなければ、改革は暗礁に乗り上げるだけだ」
言いながら、姿勢を戻してお茶を飲み干す。
そろそろ準備しないと、次の予定に間に合わない。
アルフレッド達には悪いが、昼食抜きになるだろう。
急な来客で、大幅に予定が狂った挙句、想定以上に時間を喰ったのだ。
情報源としては、有用だったが、精神的には疲労感を増させただけの、無用の長物でしかない。というより、不愉快だっただけに、損をしたような気分だ。
「はあ、悪いけどこの後は、領内に飛ぶから準備しておいてね」
そう伝えて、いったん着替えの為に部屋に戻った。
その間に、東屋の片付けや陛下への一報などを、手配するアルフレッドの手腕に狂いはない。
といっても、アルフレッドが走り回る様なことは、勿論ない。
微弱とはいえ、魔力はあり、それで魔道具を駆使するのだ。
カフスやネクタイピンなどの装飾品型で、言われなければ気付かない逸品を使っている。恐らく、特注品だと睨んでいるが、詳細は不明だ。
ただ、威力というか加減がある程度効くことは確かで、繊細な食器とポットを別々に処理している。
一度、幾つもの魔道具を使うのが大変そうに思えて、魔法で処理しようか尋ねた事がある。結果は、聞くまでもないかもしれないが、却下だった。
その後、懇々と説明される事になり、今でも覚えているくらい怖かった。
怒鳴ったり、威圧された訳ではないが、真摯な対応が妙に迫力があり、淡々とした物言いと相まって、叱責される以上に堪えた。
出来るからといって、他人の領分を侵すのは良くない行為だと、認識させるのには充分効果があった。
そう言いつつも、アルフレッド達を帰した後に、使用し片付けた事もあったが、微妙な位置の違いやカップの向き等から発覚したこともある。
その際には、確認されただけで、取り立てて注意されることもなかった。
ただ、雰囲気的にしない方が良かったかと、思わされたが…。
以後、帰る前に準備されていた上に、片付ける必要がないように配置されていた。
私が、執事の仕事を奪うことよりも、私に不便や手間をかけさせた事が、アルフレッドの矜持を傷つけたようで、その後は以前に増して、先回りした用意がなされていた。
その場合、私が不要な時もあった筈だが、それは無駄だと捉えてなかった。
抜かりなく整え、主人に仕えるのが職務であり、誇りだと言い切られ、以降は気にしない事にしている。
感謝や礼を、偶に言ったり示しているが、それさえ不要だと注意された事もある。
だが、人として最低限の礼節は、保守したいと主張したら、使用人は所有物と同じだと言われてしまう。「食器や靴に礼を言うのか」と問われた時には、何の冗談だと思ったのだが、本気で言っているのに唖然とした。
最も、アルフレッド流の教育の一環で、使用人も人だと認識させる為に、態とそんな事をして考えさせるのが、目的だったそうだ。
私の場合は、逆に私が本気で怒って収拾がつかなくなり、真相の説明をされたというオチだった。
「いい訳でもないが、一概に悪いと責めるのも違うだろう」
嘆息を零し、怠惰な格好で座るが、誰も注意してこない。
精神的に疲れ果て、出来ればこのままボーとしていたい。
「公爵家を一つ処罰しても無意味だよ。地下に潜られても困るし、一気に片を着けなければ、改革は暗礁に乗り上げるだけだ」
言いながら、姿勢を戻してお茶を飲み干す。
そろそろ準備しないと、次の予定に間に合わない。
アルフレッド達には悪いが、昼食抜きになるだろう。
急な来客で、大幅に予定が狂った挙句、想定以上に時間を喰ったのだ。
情報源としては、有用だったが、精神的には疲労感を増させただけの、無用の長物でしかない。というより、不愉快だっただけに、損をしたような気分だ。
「はあ、悪いけどこの後は、領内に飛ぶから準備しておいてね」
そう伝えて、いったん着替えの為に部屋に戻った。
その間に、東屋の片付けや陛下への一報などを、手配するアルフレッドの手腕に狂いはない。
といっても、アルフレッドが走り回る様なことは、勿論ない。
微弱とはいえ、魔力はあり、それで魔道具を駆使するのだ。
カフスやネクタイピンなどの装飾品型で、言われなければ気付かない逸品を使っている。恐らく、特注品だと睨んでいるが、詳細は不明だ。
ただ、威力というか加減がある程度効くことは確かで、繊細な食器とポットを別々に処理している。
一度、幾つもの魔道具を使うのが大変そうに思えて、魔法で処理しようか尋ねた事がある。結果は、聞くまでもないかもしれないが、却下だった。
その後、懇々と説明される事になり、今でも覚えているくらい怖かった。
怒鳴ったり、威圧された訳ではないが、真摯な対応が妙に迫力があり、淡々とした物言いと相まって、叱責される以上に堪えた。
出来るからといって、他人の領分を侵すのは良くない行為だと、認識させるのには充分効果があった。
そう言いつつも、アルフレッド達を帰した後に、使用し片付けた事もあったが、微妙な位置の違いやカップの向き等から発覚したこともある。
その際には、確認されただけで、取り立てて注意されることもなかった。
ただ、雰囲気的にしない方が良かったかと、思わされたが…。
以後、帰る前に準備されていた上に、片付ける必要がないように配置されていた。
私が、執事の仕事を奪うことよりも、私に不便や手間をかけさせた事が、アルフレッドの矜持を傷つけたようで、その後は以前に増して、先回りした用意がなされていた。
その場合、私が不要な時もあった筈だが、それは無駄だと捉えてなかった。
抜かりなく整え、主人に仕えるのが職務であり、誇りだと言い切られ、以降は気にしない事にしている。
感謝や礼を、偶に言ったり示しているが、それさえ不要だと注意された事もある。
だが、人として最低限の礼節は、保守したいと主張したら、使用人は所有物と同じだと言われてしまう。「食器や靴に礼を言うのか」と問われた時には、何の冗談だと思ったのだが、本気で言っているのに唖然とした。
最も、アルフレッド流の教育の一環で、使用人も人だと認識させる為に、態とそんな事をして考えさせるのが、目的だったそうだ。
私の場合は、逆に私が本気で怒って収拾がつかなくなり、真相の説明をされたというオチだった。
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