傍観者を希望

静流

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「驚かせないでくれ。…だがまあ、国内に留めるように動くだろう。完全に却下するのは無理だがな」

不承不承応じるが、どうも奥歯に物が挟まったようで、怪しい回答だ。
制限を設ければ人道に反すが、精霊の子を手放すのも国益を損なうので、避けたいようだ。

「左様で。まあ、それは置いておいて、私は教科について門外漢ですよ?」

「別に、詳しい必要はないだろ。卒業後に必要な知識や、基礎学力に何を学ばせるのが良いかを検討して欲しいだけだ。それこそ、セイ殿ならどんな人材を求めるかを、教授してくれれば充分だ」

妙に説得力のある言葉に、反論を封じられる。
どうやら、政治というよりは、派閥争いが絡んでいる学園から遠ざけたいようだ。

先に、助けを乞うていたのを棚に上げて、距離を置かせるやり方に、腹立たしい思いをするものの、何処かホッとしている。

学園内の暗部を聴き、食傷気味になっている所為もあって、積極的に関わりたくなかったのだ。

「それでいいのなら、承りましょう。では、私が関与するのは、その点のみで構いませんね?」

「ああ、それ以外は気にせずとも構わない。私の依頼も、それをもって完了で問題ない。それから、…実家の方だが、こちらで処理しておく。今後このような事がないように、しっかり理解させる」

未だに手にしていた手紙を、軽く掲げ請負ってくれるが、顔が怖い。
笑っているのだが、目が据わっていて虚空を睨んでいるのだ。

「…お任せ致しますが、お手柔らかにお願いします。何方にせよ、成人後は絶縁するのでしょうから、あと数ヶ月の関係ですよ」

苦笑して宥めるものの、逆に凝視されてしまう。

「なぜ知っているのだ?それは、伏せていた筈なのだが…」

「そうなのですか?ですが、観てれば何となく分かりますよ」

あれで伏せていたのかと、呆れたように応じれば、肩を落としている。

「そうか。まあ、ではそういう事で納得しているのだな」

「ええ、その方がお互い都合がいいでしょう。ただ、大国をその前に抑えておいた方がいいですよ。知れば、何かしら言ってきそうですから」

様子を窺うような陛下に、軽く返し釘を刺す。
後ろ盾がないのならと、しゃしゃり出て来そうな国なのだ。

「ああ、無論もう手は打ってある。先日の話は、過分なほどに効果があった。改めて礼を言おう」

何の気負いもなく深々と頭を下げてくる陛下に、流石に顔が引き攣る。

「一国の主が、そう簡単に頭を下げないでください。こっちが居た堪れません」

「そう邪険にせずとも良かろう。喜ぶ者もそれなりにいるのだがな」

肩を竦め戯けたように、ニヤッと笑っている。

「私が喜ぶとお思いで?」

心外だと文句を言う姿に、アスカルトが青褪めている。
だが、当の陛下は破顔している上に「思わんな」としっかり否定していた。

「一々素直に返すセイ殿も、大差ないとは思うがな。礼をするのに、踏ん反り返っていては、示しがつかないだろ。第一、そんな真似をしては機嫌を損ねるのではないか?」

「その聞き方の方が狡いかと。まあ、良い気はしませんね」

「普通はそこは否定するところだ。だが、私もセイ殿にそれを求める気はない。あまりにも態とらしい形式美は、この場には不釣り合いだ」

チラリとドミニク達へ流し目をしながらでは、言い聞かせたい相手が誰だか丸わかりだ。敢えて、間接的な方法をとる陛下も捻くれている。

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