151 / 292
151
しおりを挟む
「言葉遊びは歓迎しますが、腹芸は他所でして下さい。腹の探り合いは領主の仕事以外では、御免被ります」
「セイ殿ほど、本心が読めない相手はそう居ないがな」
「つれないな」とボヤくが、了承もしてない。
狸だと内心思いながら、狐である宰相殿がこの場に居ないことが物足りない。
「話も纏まりましたし、そろそろお引き取りを。次回は、宰相殿もご一緒にお越し下さい」
「客を追い立てなくても良かろう。それにしても、セイ殿は宰相が気に入っているのか?」
あの腹黒のどこが良いのだと、不審そうに問われる。
陛下の宰相に対する評価の方が、後々対処が大変だと思うのだが、その点には気付いていない。
意外にアルフレッドと宰相殿は仲が良いようで、情報が筒抜けなのだが…。
「陛下、私は良くして頂いてますが?そのような悪態をついては、失礼ですよ」
私は知らんぞと、先に避難させて貰う。もちろん、アルフに目配せを忘れない。
「なに、この場に居ないのに気にする事もなかろう。セイ殿は、律儀というか用心深いな」
つまらなそうに文句を言ってくるが、割と執念深い宰相殿に睨まれるのは遠慮したい。
肩を竦め明言を避けて、話題を元に戻す。
「他に何もなければ、これでお開きで構わないか?」
ドミニク達に視線を向けて尋ねるが、特に反論もない。
というよりは、何となく茫然としているようだ。
チラッとアルフレッドに目を遣れば、仕方なさそうに頷く。
「では、陛下。これで茶会はお開きという事で、お戻り下さい」
手で出口を示して促す。
「…退席はするが、セイ殿も休息を約束してくれるか?やはり顔色が悪い」
陛下は手を伸ばして、頰を撫で問い掛け、半ば命じてくる。
実際、一瞬アルフに視線を向けていた。
「そうですね。取り敢えず、一通り用事は済みましたので、2、3日ゆっくりさせて頂きます」
あっさり応じると、疑わしそうな目を向けてくれるが、本当に休むつもりだ。
「では、下の詰め所に3日間は、誰も通さないよう命じて置くが問題はないな?」
「ええ、構いません。ああでも、領内で急遽何かあった場合は、例外として認めて下さい。私は、現在はまだ領主ですので」
「そればかりは仕方がないな、では例外も含めて通達して置こう。それから、実家の方にはミンスファ領が国有化されているのも、一応書面を送っても支障はないな?」
「はい、できれば早急に送って下さい。領民にとっても迷惑ですから、それに関しては逆にお願いしたいくらいです」
憮然と応じれば、目を細めて見られる。
「…学園内でも、似たようなことを領内の貴族に言ってるようですよ。何を考えているんだか…」
溜息混じりに報告するが、次の瞬間鳥肌が立った。
表情は変わらないが、どうも怒っている。しかも、殺気が漂うほどの激怒だ。
「そうか、それは由々しき問題だな。セイ殿ではないが、取り潰すと命令したくなるな」
「まあ、その辺りは伯父上にお任せします。いいように処理して下さい」
お手柔らかにとは添えるものの、あの家族よりは国有化された方が、領民の為になりそうな気がする。
「セイ殿ほど、本心が読めない相手はそう居ないがな」
「つれないな」とボヤくが、了承もしてない。
狸だと内心思いながら、狐である宰相殿がこの場に居ないことが物足りない。
「話も纏まりましたし、そろそろお引き取りを。次回は、宰相殿もご一緒にお越し下さい」
「客を追い立てなくても良かろう。それにしても、セイ殿は宰相が気に入っているのか?」
あの腹黒のどこが良いのだと、不審そうに問われる。
陛下の宰相に対する評価の方が、後々対処が大変だと思うのだが、その点には気付いていない。
意外にアルフレッドと宰相殿は仲が良いようで、情報が筒抜けなのだが…。
「陛下、私は良くして頂いてますが?そのような悪態をついては、失礼ですよ」
私は知らんぞと、先に避難させて貰う。もちろん、アルフに目配せを忘れない。
「なに、この場に居ないのに気にする事もなかろう。セイ殿は、律儀というか用心深いな」
つまらなそうに文句を言ってくるが、割と執念深い宰相殿に睨まれるのは遠慮したい。
肩を竦め明言を避けて、話題を元に戻す。
「他に何もなければ、これでお開きで構わないか?」
ドミニク達に視線を向けて尋ねるが、特に反論もない。
というよりは、何となく茫然としているようだ。
チラッとアルフレッドに目を遣れば、仕方なさそうに頷く。
「では、陛下。これで茶会はお開きという事で、お戻り下さい」
手で出口を示して促す。
「…退席はするが、セイ殿も休息を約束してくれるか?やはり顔色が悪い」
陛下は手を伸ばして、頰を撫で問い掛け、半ば命じてくる。
実際、一瞬アルフに視線を向けていた。
「そうですね。取り敢えず、一通り用事は済みましたので、2、3日ゆっくりさせて頂きます」
あっさり応じると、疑わしそうな目を向けてくれるが、本当に休むつもりだ。
「では、下の詰め所に3日間は、誰も通さないよう命じて置くが問題はないな?」
「ええ、構いません。ああでも、領内で急遽何かあった場合は、例外として認めて下さい。私は、現在はまだ領主ですので」
「そればかりは仕方がないな、では例外も含めて通達して置こう。それから、実家の方にはミンスファ領が国有化されているのも、一応書面を送っても支障はないな?」
「はい、できれば早急に送って下さい。領民にとっても迷惑ですから、それに関しては逆にお願いしたいくらいです」
憮然と応じれば、目を細めて見られる。
「…学園内でも、似たようなことを領内の貴族に言ってるようですよ。何を考えているんだか…」
溜息混じりに報告するが、次の瞬間鳥肌が立った。
表情は変わらないが、どうも怒っている。しかも、殺気が漂うほどの激怒だ。
「そうか、それは由々しき問題だな。セイ殿ではないが、取り潰すと命令したくなるな」
「まあ、その辺りは伯父上にお任せします。いいように処理して下さい」
お手柔らかにとは添えるものの、あの家族よりは国有化された方が、領民の為になりそうな気がする。
0
あなたにおすすめの小説
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる