傍観者を希望

静流

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「叔父上、あんまりです!私も甥の1人ですよ。放せ、私は公爵だぞ」

陛下に泣きつき、騎士には悪態をついて暴れるという、忙しない動きをみせる義兄に、宰相殿は猿轡を咬ませる。

「全く、煩いですね。陛下に対する不敬罪も追加しますよ」

猿轡を感謝しなさいと、言わんばかりの態度には、引くが一理ある。
このまま叫べば、罪状が加算され続けるだけだ。
そう考えると、猿轡も助け舟である。少々、息苦しくはあるが。

「全く、見苦しいものだな。公爵だというなら、品位ある行動をとったらどうだ。目障りだ、早く連れて行け」

陛下は、顔を顰め、不快そうに命じてる。
甥だと主張された瞬間、目が冷たく光、細められた。

「陛下、いったい何を言い聞かせたのです。言いがかりを付けに、態々押しかけたのですよ」

アルフレッドが、迷惑そうに、ここぞとばかりに苦情を申し立てた。

「あれが何を考えているのか、私の方が聞きたいくらいだ。澄ました、涼しい顔で聴いていたのだぞ。あの豹変は何なのだ?」

「義弟に会うのに許可は不要だの、私生児だのと御託を並べてましたが?ああ、後は領地を返上しろと戯言も言ってましたね」

ジロっと疑わし気な視線に、嫌味まで追加しているが、そんな不遜な行為を笑って済まされるのも、アルフレッドぐらいだ。

「私生児…だと、言うに事欠き何を嘯いているのだ。挙句に、領地返上とは?まったく、何をとち狂ったんだか」

白けたように、連行される義兄を見遣っている。

やけに抵抗しているが、本職の騎士に敵うはずもなく、無駄に厳重な縄を施されている。見た目が蓑虫に近い状態で、引き摺られていった。

「そういえば、セイ殿は何故ここにいらっしゃるので?確か、寝込んでいましたよね」

にっこりと宰相殿が、態と確認してくる。よほど迷惑をかけたようで、口の端がピクピクしていた。

「私も、是非お聞きしたいものです。結界をいつ解除されました?」

「いや、その前に。いつ目覚めたのかをお尋ねしたいですな」

三者三様に問うているが、皆揃って目が据わっていた。

「そうだな。そもそも、転移してまで義兄に会う必要があったのか?」

陛下まで参戦してくるのだが、誰一人として本気で答えは求めていない。
問いの形で、責めているのだ。

「目覚めは、陛下たちが大揉めしている頃です。義兄が馬鹿な行動をとるので、追い返すつもりでした。その際に、結界を解除しての転移です」

淡々と一応は弁明したが、相変わらず薄寒い笑みを向けてくる。

「揉めているのは、ご存知だったのですね。理由の方もご承知ですか?」

「生憎、目が覚めた時には、陛下が激昂状態でしたから、不明ですが?」

アルフレッドの嫌味っぽい言い回しに、肩を竦めて知らないと逃げた。
目が一瞬細められ「そうですか」と見透かしたような口調だ。
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