傍観者を希望

静流

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「セイ様。今後は、危険な行動はお控え下さい」

多くを語らずに、忠告のみで済ませたのはグレンだが、未だに殺気がダダ漏れしている。

「心配をかけて済まなかった。グレンは怪我をしなかったか?」

捕獲したグレンを気遣えば、溜息を吐かれ、胡乱気な視線を投げられる。

「全く問題ありません。セイ様の方が危険な状態でしたが?」

「私は大丈夫だ。直ぐにグレン達が来てくれたからね」

「ほぅ、あの者はよほど死にたいらしいな。セイ殿に、危害を加えようとした時点で、有罪になると理解してないのかね」

凍てついた目で、ゆったりとされた方が、妙に怖い雰囲気を醸している。
先程の大騒ぎで見せた激怒が、可愛く思えてくる。

「そもそもは、陛下から逃す目的だったのでしょうがね」

「無駄骨でしたね」と宰相殿が余計な一言を言ってくれる。
だが、実際のところ無駄骨どころか、恩を仇で返されたようなもので、半笑いする他ない。ライが回復させた筈なのに、既に疲れ果てていた。

「私から逃すね。一体、何でそんな真似を?」

「大揉めして激怒しているのに、火に油を注いでどうしろと?」

逆に問い返せば、渋い顔をされた。

「問いに問いで返すのが、礼に反すると知らないのか?」

「応えようがないことを、訊く方が悪いかと」

「いい性格だな。私が、更に怒ると踏んだ訳は?」

「ここは禁足地ですから、当然では?誰にせよ、厳罰に値します」

「例外は、ドミニクくらいだな。セイ殿が擁護した」

フンと、面白くなさそうに言う割に、笑いが混じっている。
苦笑とはいえ、少しは当たりが柔らかくなっていた。

「あの頃は、侵入自体が厳罰だと、理解してませんでしたから。放置した責は、私にあるでしょう?」

「まあ、そうとも言えるな。だが、セイ殿も幼子だった」

暗に、責はないと仄めかされるが、首を振り否定した。

「いえ、私は既に領主でした。責を負う義務があります」

「…セイ殿のような覚悟があれば、違った結果だっただろう。愚かな醜態を晒したものだ」

陛下は、苦々しい感じで、義兄が連行された方を見ていた。
その横顔からすれば、多少は情があったと察せられる。

「仮に、私が減刑を望んだらどうされますか?」

「目撃者が多過ぎる上に、私への不敬罪だ。見過ごす訳にはいかんな」

無駄だと匂わされ、嘆息するものの、陛下ほど感慨もない。

「あれほど考えなしの愚行に走るとは、何が引金でしょうか?」

「誰かの差金だと思うのか?」

違和感を抱けば、一連の騒ぎが全て奇妙にみえ、陛下に尋ねた。
だが、陛下は眉を顰め、怪訝な顔をしただけだ。
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