傍観者を希望

静流

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「結界に関しては、本能的なものですから、仕方がないと諦めて下さい。寝込んだ件は、そもそも陛下に休息すると伝えてますが?」

「はい?陛下の了承済みだったとは、聞いてませんが…」

目を瞬いて、陛下に視線を向けるが、怪しい反応に冷気が漂う。

「待て。私は3日間の休息を告げられただけだ!断じて、寝込む事に了承はしてない」

両手を軽く挙げ、落ち着けと示しながら、弁明しているのだが、その慌てた様子では不信感を抱かせるだけだった。

「休息の意味を、どう取るかですかね。陛下、素直に詫びられたら、如何です?」

宰相殿は、あっさりと見捨て、謝罪を勧めだした。

「別に私は構いませんが、アルフレッド達には詫びて欲しいですね。散々、当たってましたよね」

「セイ様の仰る通りですね。こうなると、難癖を付けたようなものです。陛下、潔くお詫びをお願いします」

2人がかりで、責め立てられ陛下は、完全に立つ瀬がない。

「結託するのは辞めよ。私が悪かったと認めるから、いい加減にしてくれ」

じわじわと言われ、早々に白旗を挙げてしまった。

微妙に、面白くなさそうな顔をする宰相殿は、鬱憤が溜まっているようだ。
この様子だと、もう少し発散させておいた方が、良かった気がする。
とはいえ、認めた相手を責めても仕方がない。

「アルフレッド達が、こちらに向かった後は、宰相殿にまさか当たってませんよね?」

「あ、いや何だ。暴走していたのをだな…」

何とも言えない表情で誤魔化すが、要は当たったのだ。

「陛下、往生際が悪いですよ。勿論、宰相殿にも謝罪されますよね?」

ギロっと睨めば、渋い顔をするが、僅かに頷いた。

「謝罪は不要ですが、代わりに溜まった書類の処理をお願いします。先程、腕を痛めましたので」

サラッと辞退して、要求を述べた後に、腕を押さえている。

かなり態とらしいのだが、陛下が黙り込んでいる様子からして、身に覚えがあるようだ。陛下は、溜息を漏らし「わかった」と端的に応じていた。

宰相殿が目礼してきた後、微かに含み笑いを浮かべて、また無表情になる。
どうやら、陛下に一矢報いたようだが、自業自得だと諦めてもらおうと、目を逸らした。

「では、御用もお済みでしょうから、お引き取りを願います。アルフレッド達への詫びは、忘れないで下さいね」

手で出口を示して、帰るように促すのだが、追い立てるような口調になっていた。

「あ、いや。その前に、もう体調は問題ないのか?」

「出来れば、後数日休息をとりたいところですね。まあ、無理ですが」

肩を竦めて、予定が詰まっていると告げた。

「そうではない。私が聞きたいのは純粋に健康面だ。まだ、疲れが溜まっているのか?」

手を振って否定して、こちらを凝視してくる。

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