傍観者を希望

静流

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「残ってはいますよ。先程も言いましたが、後数日は休息が必要な状態です」

仕方なく告げたのだが、一瞬で空気が凍りついた。

「まさか、また結界を張り巡らせて寝込むつもりか?」

「それも先程から言っているでしょう?忙しくて、休む余裕はありません」

呆れたように口にすれば、陛下がアルフレッドを振り返って見た。

「何故それほど忙しいのだ?予定を組み直せ」

「陛下がそれを言いますか。残念ながら不可能です」

アルフレッドは、冷めきった目で、慇懃に応じている。

「妙に含むところが有りそうだが、何が言いたいのだ」

「陛下。その辺で引かれた方が宜しいかと」

宰相殿が、慌てて制止をかけている。
しかし、それを手で制し、陛下はアルフレッドを見据えていた。

「アルフ、私の意志でやっていることだ。陛下は関係ない」

アルフレッドが口を開く前に、返答を阻止する。
開きかけた口を閉じ、一呼吸置いて黙礼して後ろに下がった。

「セイ殿、邪魔をしないで頂きたい。私を蚊帳の外に置く気か?」

機先を制され、憮然と文句を付けてくる。

「陛下こそ、少々執念いです。私は自分の意志で動いています。誰の制約も受けません。もちろん、それは陛下にも当てはまります」

鬱陶しそうに言えば、ムッとされるのだが、宰相殿は申し訳なさそうな顔をした。

「その言いようは、あまりに不敬だろう」

「陛下。そろそろ、戻られませんと後が困るかと」

陛下を敢えて遮るように、宰相殿が席立ててきた。
目を細めはしたが、確かにいい加減戻らないと、不味いようで黙ってしまった。

「分かった。戻りはするが、セイ殿。もう少し身体を労わるよう、お願いしておく」

命令が駄目ならと、嘆願に代えてはきたのだが、雰囲気が威圧的だ。

「陛下。言葉と態度が裏腹ですよ。ご心配をお掛けした事は、申し訳なく思ってます」

そう詫びても、言質は与えない態度に、陛下が嘆息を漏らす。

「なんでそう頑ななのだ。取り敢えず、私たちは引き上げるから、ゆっくり静養しなさい」

何を言っても無駄だと悟ったようで、諦め顔だが、一応は釘を刺して帰っていった。
陛下に続きながらも、宰相殿は全て理解しているように深々と頭を下げる。
そして、何事もなかったように、陛下の下へ戻って行った。

「セイ様、本当にあれで宜しかったんですか?」

アルフレッドが、陛下達の姿が見えなくなったところで、口火を切った。

「言い立てたところで、どうするのだ?どの案件も急ぎだ。私の領民も絡んでいるしな」

肩を竦めて、仕方ないだろっと応じた。

「ですが、セイ様がしなくてはいけない理由もないかと、存じますが?」

珍しく食い下がるのは、先程のやり取りを踏まえてだ。
そして、改めて見れば、隈までできている姿に、罪悪感が湧いてくる。

「アルフたちには、心配をかけて済まなかった。少々無理をし過ぎたのは認める。今後は、体調面にも気を配るから、そう怒らないでくれないか」

「私は、怒っているのではなく、セイ様を案じているのです」

アルフレッドが眉間を押さえ、なぜ分かってくれないのかと嘆く。
多少芝居がかった仕草に、グレンの方が笑いを堪えるような妙な顔になっている。
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