傍観者を希望

静流

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「急に寝込んで本当に悪かったと思っている。だから、そう真綿で絞めるような真似は勘弁して欲しい」

眉尻を下げて頼めば、胡乱気に「本当に理解してますか」と念押しされる。

「してます。充分悪かったと反省してる」

頷き、言葉を重ね続けて漸く、表情を緩め「今後はお気をつけ下さい」と赦された。

「セイ様、喉は渇いてませんか?」

今更ながらの問いを受けて、日常が戻ってきた。

「悪いが、何か飲み物を頼む」

「いえ、それよりも何か召し上がらないと、お腹も空かれてるでしょう?」

グレンも言葉を添えてくる。

「では、お粥かポタージュを急ぎ用意しますから、グレンはお茶を」

アルフレッドが、水を得た魚のように、活きいきと動き出した。

「セイ様、東屋にお持ちいたしますから、くれぐれも動かないで下さい」

思い出したように釘を刺して、厨房の方に颯爽と向かう後ろ姿に、苦笑した。

「セイ様。お茶の用意ができましたので、移動願えますか?」

グレンが、促してくる。
腕には厚手の布を抱え、チラリと見えた手は、たった3日で傷だらけだ。

「グレンにも、心配をかけて済まなかった。それ以上に、色々と迷惑もかけたようで悪かった。手を見せてくれないか?」

困ったような顔をし、逡巡していたのだが、仕方なさそうに差し出された。

「先ほど気付いたのだが、かなり派手にやったものだな」

両手共に、アカギレに火傷といった、細かな傷を負っている。
およそ、騎士らしからぬ手だ。

「見た目ほどには、痛くはありませんから心配はいりません。お目汚しになり、申し訳ありません」

サッと手を引っ込めようとするのを制し、治癒の魔法をかける。
あっという間に、元通りにはなったが、グレンの顔は晴れないどころか、一気に曇った。

「セイ様。誠にありがたいのですが、今後はこのような事はお辞め下さい。お体に障ります」

「これぐらい大したことではない。グレンが気に病む事はないのだから、そう落ち込むな。第一、その手は私の所為だろう?」

首を振り、否定しても納得しないグレンに、怪我の原因が自分だからだと主張した。

「違います!これは私が下手だからであって、セイ様は関係ありません」

「近衛騎士の職務ではないだろう。草取に庭の手入れ、此処の清掃に厨房で軽食作りというのは、到底妥当とは思えないのだが?」

「何故それをご存知なのです?」

目を見張って、問われるのだが、流石にズルをしている様で、答え難いものがある。

「それはだな…、精霊が全て報告してきたのだ。お蔭で、詳細は不明でも、概要は何となく把握している」

「その割には、詳しくないですか?」

怪訝な視線から目を逸らし、ライが夢の中で見せてくれたと応えれば、がっくりと肩を落とす。

「まさか、全部ご覧になっていたのですか⁉︎」

顔を引き攣らせて、確認してくるのには、しっかり否定した。
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