傍観者を希望

静流

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「いくらなんでも、3日分をどう纏めて観るのだ?生憎、それほど暇ではない。ライが切取った一場面を数枚見せられただけだよ」

「そう‥だったんですね。だから、改めて確認したのですか?」

「手の傷に気付いたのは、ついさっきで、それまで知らなかった。だから、詫びたのだ」

目を伏せ、改めて申し訳なく思えてくる感情の波を抑えた。
過剰に詫びては、余計に相手に失礼だと分かっているのだ。
だが、本来ならする必要のない仕事だった、という負い目が少なからずある。
それが、チクチクと良心を刺激していた。

「セイ様は、律儀で誠実な方ですね。普通なら捨て置きますよ?」

態と揶揄うような口調で、軽く言うのだが、頷きたくない内容に、思わず眉根が寄った。

「悪いが、そんな真似は、頼まれても出来ないからな。私には論外だ」

異論は聴きたくないと、顔を背けた。
仕方がなさそうに、促され座れば、先程まで腕に抱えられていた布を膝に掛けられた。
ほんのりと暖かな布が、グレンの気遣いを感じさせてくれる。
綺麗な所作で、お茶を入れられ、茶請けもスッと自然に置かれる。

「グレン、もしかしなくても練習したのか?凄く自然な動きだ」

驚いて見上げれば、満足気な顔をしている。

「セイ様。お言葉を返すようで恐縮ですが、まだ脇が甘いですよ」

アルフレッドが、グレンの後ろから声を掛けてきた。

「充分だと思うが、アルフには許容範囲外か?」

「いえ、一応は認めてますが、まだまだ修行が足りません」

「セイ様にお出しできるギリギリのところです」と、なんとも厳しい評価だったが、グレンは落ち着いて、素直に頷いている。

「アルフ、それこそ何の修行なんだ。グレンは、あくまで護衛であって、従僕や執事ではないだろ」

それは可笑しいだろうと、ごく当たり前の指摘したのだが、にっこりと棘のある反論をされた。

「残念ながら緑雲宮は、少数精鋭ですから、私が居ない時の為にも覚えてもらう必要があります」

側仕えを2人に限定したのは自分だけに、そこを突かれると痛い。
今後は、後2人ほど追加するのだが、調査に向かわせる予定もあり、あまり意味がないのも事実だ。

「私だけ、護衛以外の兼任が出来ないのは不本意だと、自分からお願いしたのです」

アルフレッドを責めるなと、逆にグレンに諌められた。
確かに、他の面々は一通り熟せる者ばかりだが、特殊な事例であってグレンが劣っている訳でもない。

「私は、今まで通りで充分なのだが、それでは駄目なのか?」

「ご不便をお掛けしているでしょう?」

「特に不便な思いはしてない。アルフが連日欠勤するなら、まだ分かるが、そんな予定もないだろ」

「備えあれば憂なしとも言います。何かあってからでは、間に合いません」

正論なのだが、用意されていたような言葉に鼻白んだ。
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