傍観者を希望

静流

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アルフレッドは、すまし顔で「食事風景を観れば分かります」と、反応に困る一言を寄越して下がり、グレンがお茶を持って現れる。

「遅くなり、申し訳ありません。どうかされましたか?」

「あ、いや。丁度入れ替わるように、帰って来たから驚いただけだ」

首を軽く傾げながらも、手際良く新しいお茶を渡された。

「先程とは違うお茶のようだが、何か意味があるのか?」

ふと、香りが微妙に違っているのに気付いた。
よく見れば色も少し明るい感じがする。

「今回は、薔薇を配合してます。少し酸味があって、疲れの緩和になるかと変えてみました。あの、駄目でしたか?」

不安そうに窺ってくるグレンに、頭を振り否定し、味わうと酸味がいい塩梅で、ホッとする。

「確かに、酸味がいい風味を出して美味しいな。グレン、ありがとう」

感じるままに礼を述べれば、想像以上に感激し、目が潤んでいる。

「そう仰って頂けることに、感謝します」

どこまでも謙虚な態度で、逆に礼までされる事態に、目が泳いでいた。

「グレン。この場合、礼を言うのは私だと思うのだが…、いったい何を目指しているんだ?」

「私は、セイ様を心身共に守れるような、騎士になりたいのです」

グレンは、スッと真直な視線を向け宣言してきた。
言葉の端々から察していた方向とは、違っていたのだが、手を傷だらけにしてまで練習していた理由が漸く理解できた。

「だから、お茶や軽食まで練習していたのか?」

「疲れを少しでも癒したかったのです。出過ぎた真似だとは分かっています」

改めて、深々と頭を下げられたが、心情を読み誤ったと、内心反省していただけに、心苦しくなった。

「グレンは、悪くない。私が至らぬ主で済まない」

ポツンと呟くように詫びる。

「っいいえ。セイ様は、素晴らしい主です。そのような事は言わないで下さい」

グレンが、血相を変えて反論したところに、アルフレッドが帰ってきた。

「セイ様、私も同意見です。間違っても、そのような事を口にしないで下さい」

真剣な顔で諭してくるのだが、妙にタイミングが良過ぎる登場に、つい胡乱気な視線を投げてしまった。

「2人がかりでは、ずるい気がするのだが…以後、気をつけるよ」

「そう願います。前後しましたが、配膳しても宜しいですか?」

アルフレッドは、押してきたカートを見遣り確認してきた。
頷けば、グレンと2人で食器を並べ、料理が盛られていく。

「温かいうちにお召し上がり下さい」

一礼し、2人とも定位置に下がって控えている。
机の上には、所狭しと並べられた料理が湯気をたてているのだが、到底1人分には見えない量だ。

「アルフ、私1人には幾ら何でも多過ぎないか?」

「食べれる分だけで構いません。どうぞ、お召し上がりを」

にっこりと「問題ない」と流すが、新手の嫌がらせかと疑いたくなる。
ジッと見据えても、変わらない態度ながら、目が意味深に光っていて、完全に気付かれているなと嘆息を漏らした。
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