傍観者を希望

静流

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「ライトの報告待ちですが、義兄とロバートもその関連かもしれません」

「成程…その片鱗がもしや、確認できたのか?」

片眉をピクリと跳ねさせ、窺ってきた。

「残念ながら疑惑のみです。ただ、状況から判断すれば…」

語尾を濁したが、陛下には伝わったようで、眼光が鋭くなった。

「でき過ぎて、逆に怪しいということか。確かに、あの国なら記憶操作や暗示はお手のものだな」

「精霊信仰も凄いですから、魔力持ちや加護持ちの保護は隣国一です。結果的に、その手の教育もずば抜けてますし、上手く煽れば何でもするかと」

「洗脳の可能性もあるが?それは疑わないのか」

「下手にしたら後が問題ですよ。暴走する羽目になりかねません」

首を振り、陛下の疑念を否定した。
やり損ねた場合の方が、危険が大き過ぎる。

「では、褒賞か人質となるのか?翻意は難しそうだな」

顔を顰め、面倒だなとボヤいている。

「そうとも言い切れません。恐らくは、褒賞か名誉でしょうから。返って楽かもしれません。もっとも、信用も出来ませんが」

肩を竦めて、他の可能性を示した。

「なぜ、人質を除外するのだ?」

怪訝そうに訊いてくる陛下に、呆れが混じった態度になってしまう。

「逆にお聞きしますが、どうやったら人質が取れるので?」

能力者相手に、家族を拘束してどうすると半眼になって見返す。

「…そうだった。その点をどうも失念してしまう」

自分でも失言だったと、渋い顔をしていた。

「陛下。そろそろ…」

後ろから、宰相殿が控えめに声をかけてきた。

「ああ、分かっている。では、後ほど伺わせてもらう事にして、一旦戻らせて頂くが…。ドミニク、転移以外で戻られた際は、知らせに来てくれ。頼んだぞ」

ずっと空気の様に、気配を殺していたドミニクに声を掛けて帰っていった。

「巻き込んで悪い。だが、万が一にもドミニクが知らせに走ることはない筈だ。安心していい」

太鼓判を押しても、ドミニクは憂い顔のままだ。

「セイ様。その点は、どうでもいいのです。それよりも、刺客に狙われているとは聞いてません」

ジトっと睨んでくるドミニクに、つい目が泳いでしまう。
だが、ドミニクに教える利点は何もないのだ。

「ドミニク。知ってどうする気だ?」

「どうって…。心配くらいはさせて下さい」

言葉に詰まった挙句、何故か逆ギレしているドミニクは、どこか悔しげな感じがした。

「下手に心配させても、仕方がないだろ。知らない方が良いこともあると思わないのか?」

「後で知らされるのも、悔しいとご存知ないのですか?私は、蚊帳の外に置かれる方が嫌です」

ドミニクは、ムッとした様子で、怒っていると全身で主張している。

「ドミニク達には悪いが、私は保護者だ。庇護対象ではない」

「私の方が年は上です。確かに、セイ様の宮でお世話になってはいますが…」

ドミニクは、反論してきたのだが、自分でも説得力に欠けるのに気付いた様で、尻すぼみになった。
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