傍観者を希望

静流

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「私は、単なる研究者を侍従や侍女にする事に対してのみ、苦言を呈したいだけです」

趣旨が違うと、あっさり切り捨てるように告げている。
それでも幾分か優しい対応なのだが、気付いていないドミニクは、更に文句を付ける愚かな真似をした。

「何故しないのです?セイ様が主人だから、忠告すらしないと?」

八つ当たりだとしても、言っていいことと悪い事がある。
アルフレッドに対する無礼な物言いに、顔を顰めジロリと睨みつけた。

「ドミニク。失礼にも程があります、アルフレッドに謝りなさい」

冷ややかに告げた瞬間、空気が歪む気配がし、ライトとライが現れた。

「セイ様。お待たせして申し訳ありません」

ライは、開口一番に謝罪を述べ、拝跪してくる。
二重三重に含みを持たせた言葉に、嘆息し礼を解かせた。

「此方も無理を言って悪かったが、情報は得られたか?」

「それに関しては、こちらを預かっています」

スッと差し出された書類の束に、呆気に取られ反応が遅れた。

「相変わらずだな。もしかしなくても、訪ねた時点で渡されたのか?」

分厚い書類を流し見ながら問えば、苦笑を返される。

「ええ、此方が用件を口にする前に頂きました。間違いございませんか?」

「後ほど礼状を送っておくよ。手際は良いが、親切心はないからな」

礼状と言いつつも、謝礼に包む金額を思案していた。

「セイ様。彼方からの伝言ですが「今回は不要」との事です。詫びと誠意を表してだと抜かしていました」

「誠意ね。そう言ったのか…まあ、そういう他ないだろうが、苦肉の策とも言えるな」

不審そうなライに、半笑を返し棘のある言葉を添えた。

「つまり、彼方も管理不行き届きなので?それとも…」

「粛清済みのようだから、推して知るべしだ。だが、詫びというだけに色を付けてくれて、お蔭で面倒が省けて助かるよ」

ライの疑念を軽く流し、一通り目を通した書類を渡す。

「拝見しても宜しいのですか?」

「問題ないよ。後、ライトの紹介も済ませたのか?」

「はい。序でに、ライカも一緒に連れて行きましたよ」

ライも、サラッと流し見をしながら応じてくる。

「手間を取らせたな。それで、彼方の反応は?」

「特に驚いてもいませんでした。名は、既に知っていた感じでしたよ」

肩を竦め、情報の漏洩を報告してきた。
しかし、その点は想定内で驚くこともないのだが、アルフレッド達は違ったようだ。

「何故、外部に漏れているのです?内部でも、未だ周知されていないのに…」

「蛇の道は蛇と言うだろ、相手は情報で生きている人間だ。さして、可笑しくもない」

「いえ、セイ様も少しは警戒して下さい。漏れる時点で、充分問題ですからね」

ギロっと睨まれてしまったが、実際にはあちこち漏れている。
目くじらを立てるほどかと、首を捻りライに目で問う。

「一応は機密事項ですから、アルフレッドが神経を尖らせるのは妥当です」

「私の侍従や侍女が機密事項?何の冗談だ」

国家機密じゃあるまいしと、呆れて言い返せば、逆に首を振られる。
挙句、残念な子を見るような目を向けられた。
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