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「私の主人はセイ様ですが、この宮の管理はアルフの管轄です」
グレンは、当たり前のように応じ、アルフレッドを自然に立てている。
この辺りが、アルフレッドに可愛がられる所以だろう。
「2人しかいないのに、相変わらず律儀ですね」
仕事を分担し担ってきただけに、まさかそう返されるとは思わなかったようだ。
珍しく素の表情を覗かせ、此方の方が逆に驚かさせらる。
「グレンは、到底貴族には見えんな。どう育てられたら、そういう気質になるのだ?」
陛下が、幾分呆れが混じった称賛を口にした。
だが、それこそ褒められた気がしない言葉で、貶されているようにも聴こえる。
「陛下。それでは、グレンに失礼です。仮にも、公爵家の跡継ぎに何を言っているんですか?」
宰相殿が、苦々しい顔で注意しているのだが、此方も微妙な発言だ。
だが、それ以前の問題がある。
私は初耳だし、護衛騎士は四六時中一緒で柊生独身となる。
そうすると、公爵家の跡継ぎとしては、論外な職業ではないのだろうか?
自然と眉根が寄っていたのを、目敏くアルフレッドが気付いた。
「セイ様。申し上げてはいませんでしたが、グレンに二心はありません。一生をセイ様に捧げると宣誓してます。どうか、お疑いなきよう」
「でも、それでは公爵家の跡継ぎはどうなるのだ?グレンが跡継ぎなのだろう?」
「それは、確かにそうですが、一族の中から養子を迎えれば済む話です。別段問題はありません」
何でもないと言うように、淡々と告げられる。
台本でも読むように言われては、突っ込む気にもなれない。
「グレンは、本当にそれでいいのか…後悔しないのか?」
「その問いは、グレンに失礼かと。先程も言いましたが、既に決意したことです。選択は済んでいるのです」
「セイ様。私は専任騎士となれたことを誇りに思ってます。後悔する事はありえません」
グレンも、自分で釈明してくる。こんな時も真っ直ぐで振れない視線だ。
「でも、ご両親や親族はそれで納得しているのか?普通なら、反対するものだと思うが…」
「最初は反対しますたが、最後には諦めたようです。今は、良好な関係ですし、次の跡取り候補の選定に燃えてます」
あっさりと認めた後の内容に、グレンの両親が憐れに思えてくるが、元凶の私が心配するのも何か変だ。その上、どうも切替の早い前向きな方々なら、要らぬお世話だろう。
「他人事ながら、あの公爵らしい対応だな。相変わらず、感情より理性が先のようだ」
陛下が、半ば皮肉げに評価している。とはいえ、特に嫌悪している様子もない。
「未だに気にしているのですか?」
「そういう訳ではないが…私は感情が先立つ、ただそれだけだ」
宰相殿の問いに、言葉を濁し言い変えて返している。
グレンは、当たり前のように応じ、アルフレッドを自然に立てている。
この辺りが、アルフレッドに可愛がられる所以だろう。
「2人しかいないのに、相変わらず律儀ですね」
仕事を分担し担ってきただけに、まさかそう返されるとは思わなかったようだ。
珍しく素の表情を覗かせ、此方の方が逆に驚かさせらる。
「グレンは、到底貴族には見えんな。どう育てられたら、そういう気質になるのだ?」
陛下が、幾分呆れが混じった称賛を口にした。
だが、それこそ褒められた気がしない言葉で、貶されているようにも聴こえる。
「陛下。それでは、グレンに失礼です。仮にも、公爵家の跡継ぎに何を言っているんですか?」
宰相殿が、苦々しい顔で注意しているのだが、此方も微妙な発言だ。
だが、それ以前の問題がある。
私は初耳だし、護衛騎士は四六時中一緒で柊生独身となる。
そうすると、公爵家の跡継ぎとしては、論外な職業ではないのだろうか?
自然と眉根が寄っていたのを、目敏くアルフレッドが気付いた。
「セイ様。申し上げてはいませんでしたが、グレンに二心はありません。一生をセイ様に捧げると宣誓してます。どうか、お疑いなきよう」
「でも、それでは公爵家の跡継ぎはどうなるのだ?グレンが跡継ぎなのだろう?」
「それは、確かにそうですが、一族の中から養子を迎えれば済む話です。別段問題はありません」
何でもないと言うように、淡々と告げられる。
台本でも読むように言われては、突っ込む気にもなれない。
「グレンは、本当にそれでいいのか…後悔しないのか?」
「その問いは、グレンに失礼かと。先程も言いましたが、既に決意したことです。選択は済んでいるのです」
「セイ様。私は専任騎士となれたことを誇りに思ってます。後悔する事はありえません」
グレンも、自分で釈明してくる。こんな時も真っ直ぐで振れない視線だ。
「でも、ご両親や親族はそれで納得しているのか?普通なら、反対するものだと思うが…」
「最初は反対しますたが、最後には諦めたようです。今は、良好な関係ですし、次の跡取り候補の選定に燃えてます」
あっさりと認めた後の内容に、グレンの両親が憐れに思えてくるが、元凶の私が心配するのも何か変だ。その上、どうも切替の早い前向きな方々なら、要らぬお世話だろう。
「他人事ながら、あの公爵らしい対応だな。相変わらず、感情より理性が先のようだ」
陛下が、半ば皮肉げに評価している。とはいえ、特に嫌悪している様子もない。
「未だに気にしているのですか?」
「そういう訳ではないが…私は感情が先立つ、ただそれだけだ」
宰相殿の問いに、言葉を濁し言い変えて返している。
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