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「若しかしなくても嫌っていたのか?割と…上手く付き合っていたよな」
「私はコレでも大人ですよ。仕事を回す為に尽力するのは、当然かと」
「間違ってはいないが、身も蓋もないな。それで、実のところは?」
呆れたように陛下は、問い掛けているが、宰相殿は明言を避けたいようだ。
営業用のような笑みを浮かべ「訊くのは、野暮ですよ」と返している。
「陛下、話がまた逸れてますよ。さっさと終わらせませんか?」
8割がた話が付いているのだから、脇道に逸れるなと苦言を呈した。
だいたい知ってどうするのだという懸念もある。
嫌悪しても、兄弟であるのは変わらないのだから、碌なことにならないと目に見えてるだろう。
「分かった分かった。大筋は宰相の言う通りでいいが、今回の騒動の実行犯をどう捕らえるかが残りの議題だな」
「記憶操作で姿を眩ませてますが、未だに国内に潜伏中でしょうね。検問を強化しても無意味でしょうし、何かいい対策はありますか?」
煩げに頷いたが、2人して他力本願的に此方を窺っている。
「私に丸投げする気ですか?少しは考える努力をして下さい」
げんなりと文句を言えば、こんな時ばかり息が合う2人で「専門外だ(です)」で済まされる。
確かに、陛下や宰相殿が、記憶操作に対抗出来るとは思えない。
「ライ、何か思い付かないか?」
「お気持ちは解りますが、私どもに振っても仕方がないかと」
精霊相手に記憶操作は、それこそ意味がない。
その対策を巡らせる必要もない相手に、意見を求めた私が悪いのだが、私自身も同様なのを忘れてないか…。
「うん?どういう事だ」
「もしや…記憶操作が効かないのでは?」
陛下が妙な顔をし、宰相殿は顔を見合わせて見解を述べていた。
「セイ殿が無効化した結果、あの捕物なのか?」
「そういえば…我らを正気付かせたのはセイ様でした」
アルフレッドが思い出したように、証言している。
正確には、私が状態異常を解除した結果だが、彼等には大差ない話だ。
「精霊同様にその手の目眩しは、意味を成しません。故に、対策云々を言われても困ります」
「記憶操作が目眩し…ですか。何か、余計に次元が違いますね」
宰相殿が、力ない空笑いをしながら虚に呟き、陛下は困惑顔だ。
「因みに、理屈は分かるのか?」
「記憶操作のでしたら、生憎と知識はありません。状態異常という認識程度です」
理屈が解れば対策が練れると期待したようだが、不要な術を教えるほど精霊も暇ではない。第一、私相手にそんな真似をする酔狂な者がいるとは想定されてないのだ。
「…では、誰か詳しい者を知らないか?」
国内にその手の研究機関がないのは知っているが、私以外に伝はないのか?
それとも、手っ取り早い方法を選んだのか、胡乱気に見つつも頷けば、喜色満面だ。
その傍で宰相殿は、曇り顔だ。
此方はいち早く察した様だが、背に腹はかえられぬ思いで、沈黙を守っている。
「それで、その者との連絡は直ぐに取れそうか?」
「取れますが…。あの後悔しませんか?」
取ること自体はどうでも良いのだが、その後の状況が想像でき、一応確認した。
残念ながら、此方の気遣いにも気付かない陛下は、あっさりと「構わん」で済まし、急かしてくる始末だ。
「私はコレでも大人ですよ。仕事を回す為に尽力するのは、当然かと」
「間違ってはいないが、身も蓋もないな。それで、実のところは?」
呆れたように陛下は、問い掛けているが、宰相殿は明言を避けたいようだ。
営業用のような笑みを浮かべ「訊くのは、野暮ですよ」と返している。
「陛下、話がまた逸れてますよ。さっさと終わらせませんか?」
8割がた話が付いているのだから、脇道に逸れるなと苦言を呈した。
だいたい知ってどうするのだという懸念もある。
嫌悪しても、兄弟であるのは変わらないのだから、碌なことにならないと目に見えてるだろう。
「分かった分かった。大筋は宰相の言う通りでいいが、今回の騒動の実行犯をどう捕らえるかが残りの議題だな」
「記憶操作で姿を眩ませてますが、未だに国内に潜伏中でしょうね。検問を強化しても無意味でしょうし、何かいい対策はありますか?」
煩げに頷いたが、2人して他力本願的に此方を窺っている。
「私に丸投げする気ですか?少しは考える努力をして下さい」
げんなりと文句を言えば、こんな時ばかり息が合う2人で「専門外だ(です)」で済まされる。
確かに、陛下や宰相殿が、記憶操作に対抗出来るとは思えない。
「ライ、何か思い付かないか?」
「お気持ちは解りますが、私どもに振っても仕方がないかと」
精霊相手に記憶操作は、それこそ意味がない。
その対策を巡らせる必要もない相手に、意見を求めた私が悪いのだが、私自身も同様なのを忘れてないか…。
「うん?どういう事だ」
「もしや…記憶操作が効かないのでは?」
陛下が妙な顔をし、宰相殿は顔を見合わせて見解を述べていた。
「セイ殿が無効化した結果、あの捕物なのか?」
「そういえば…我らを正気付かせたのはセイ様でした」
アルフレッドが思い出したように、証言している。
正確には、私が状態異常を解除した結果だが、彼等には大差ない話だ。
「精霊同様にその手の目眩しは、意味を成しません。故に、対策云々を言われても困ります」
「記憶操作が目眩し…ですか。何か、余計に次元が違いますね」
宰相殿が、力ない空笑いをしながら虚に呟き、陛下は困惑顔だ。
「因みに、理屈は分かるのか?」
「記憶操作のでしたら、生憎と知識はありません。状態異常という認識程度です」
理屈が解れば対策が練れると期待したようだが、不要な術を教えるほど精霊も暇ではない。第一、私相手にそんな真似をする酔狂な者がいるとは想定されてないのだ。
「…では、誰か詳しい者を知らないか?」
国内にその手の研究機関がないのは知っているが、私以外に伝はないのか?
それとも、手っ取り早い方法を選んだのか、胡乱気に見つつも頷けば、喜色満面だ。
その傍で宰相殿は、曇り顔だ。
此方はいち早く察した様だが、背に腹はかえられぬ思いで、沈黙を守っている。
「それで、その者との連絡は直ぐに取れそうか?」
「取れますが…。あの後悔しませんか?」
取ること自体はどうでも良いのだが、その後の状況が想像でき、一応確認した。
残念ながら、此方の気遣いにも気付かない陛下は、あっさりと「構わん」で済まし、急かしてくる始末だ。
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