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「では、本来の話題に戻り、公爵家はお取り潰しでいいですね?当主及び次男は鉱山で終生労働といったところですね。ただ、隠居された前公爵夫妻はどうしましょうか…」
宰相殿が場を仕切り直すように、多少大きな声で話し出した。
「それが妥当だが、確かにあの2人は…微妙だな。隠居で方を付けたが、今までやってきた事がその程度で赦されては納得がいかん。だいたい、子の罪と落差があり過ぎ不公平だと申し立てが起こる」
陛下も顔を顰め、面白くなさそうに言っているが、幾ら何でもあの2人は肉体労働に向かない。なにしろ陛下よりは若いといっても運動能力はからっきしない文官だったし、奥方も身体が丈夫とは言い難い。故に、刑の確定を苦慮しているのだ。
「何処までも面倒を掛けてくれる方々ですが、外聞が悪いですから落とし所を何に照準を合わせるかが大切かと」
「…その照準が難しいのだ。軽くては意味がないが、確実に死ぬようなものは駄目だ。その匙加減をどうしたら良いか、案はないか?」
陛下が此方に視線を向けて、形ばかりに宰相殿に訊いているが、実際には此方への問いだ。
私に振ってどうすると、目が半眼になって見返せば、苦笑いを返される始末だった。
「私に刑を決めろとは、それこそあんまりかと。私は一応子ですよ?」
「だが、同時に1番の被害者でもあるだろう?希望はあるかと思ったのだが…」
陛下としては、温情も加味していたみたいだが、先程の提案が却下なら次策案はない。
「申し訳ありませんが、先程の提案以外はありません」
「先程というと、あの監視下での幽閉ですか…。陛下、この案で宜しいのでは?」
宰相殿が、意外にもあっさりと今度は認めている。
序でに言えば、何処か投げやりな雰囲気まである賛同に、眉根を寄せた。
「…大枠をそうして、詳細は検討するという事か?流石に、ほのぼのと隠居とはいかんぞ」
「ええ、それは分かってます。しかし、対外的には丁度いい案です。ある程度は人道的で、拘束される要素もあります。何よりも、大国に利用され難いかと」
しっかり、此方の意図は伝わっていたようだ。
でも、妙に背筋が寒くなる不穏さも感じ、何をする気だと訝しげな視線を向ける。
「対外的な大義名分、という断りが入る時点で内実は違うのだな。そう嬉々と言われては、引くのだが一体どうする気だ?」
「取り敢えず、セイ様の提案通りに東の片田舎か、人里離れた場所で幽閉。監視は付けますが、手出し勿論世話のですが、不要とします。つまり、衣食住の内で家以外は一切の援助なしで生活して貰おうかと」
にっこりと割と酷い事を提案してきた。
だが、貴族と思わなければ、ごく一般的な生活で、家付だけ恵まれている。
「無難な案だが…それだと先ずは、生活の術を教え込む必要があるな」
「そうですね。それに関しては、現在雇われている侍従と女官に依頼すれば済むかと」
何でもない事のように応じているが、そこからが罰の気がしてくる。
あの家の使用人達は、扱いが決して良くなかった筈だ。
宰相殿が場を仕切り直すように、多少大きな声で話し出した。
「それが妥当だが、確かにあの2人は…微妙だな。隠居で方を付けたが、今までやってきた事がその程度で赦されては納得がいかん。だいたい、子の罪と落差があり過ぎ不公平だと申し立てが起こる」
陛下も顔を顰め、面白くなさそうに言っているが、幾ら何でもあの2人は肉体労働に向かない。なにしろ陛下よりは若いといっても運動能力はからっきしない文官だったし、奥方も身体が丈夫とは言い難い。故に、刑の確定を苦慮しているのだ。
「何処までも面倒を掛けてくれる方々ですが、外聞が悪いですから落とし所を何に照準を合わせるかが大切かと」
「…その照準が難しいのだ。軽くては意味がないが、確実に死ぬようなものは駄目だ。その匙加減をどうしたら良いか、案はないか?」
陛下が此方に視線を向けて、形ばかりに宰相殿に訊いているが、実際には此方への問いだ。
私に振ってどうすると、目が半眼になって見返せば、苦笑いを返される始末だった。
「私に刑を決めろとは、それこそあんまりかと。私は一応子ですよ?」
「だが、同時に1番の被害者でもあるだろう?希望はあるかと思ったのだが…」
陛下としては、温情も加味していたみたいだが、先程の提案が却下なら次策案はない。
「申し訳ありませんが、先程の提案以外はありません」
「先程というと、あの監視下での幽閉ですか…。陛下、この案で宜しいのでは?」
宰相殿が、意外にもあっさりと今度は認めている。
序でに言えば、何処か投げやりな雰囲気まである賛同に、眉根を寄せた。
「…大枠をそうして、詳細は検討するという事か?流石に、ほのぼのと隠居とはいかんぞ」
「ええ、それは分かってます。しかし、対外的には丁度いい案です。ある程度は人道的で、拘束される要素もあります。何よりも、大国に利用され難いかと」
しっかり、此方の意図は伝わっていたようだ。
でも、妙に背筋が寒くなる不穏さも感じ、何をする気だと訝しげな視線を向ける。
「対外的な大義名分、という断りが入る時点で内実は違うのだな。そう嬉々と言われては、引くのだが一体どうする気だ?」
「取り敢えず、セイ様の提案通りに東の片田舎か、人里離れた場所で幽閉。監視は付けますが、手出し勿論世話のですが、不要とします。つまり、衣食住の内で家以外は一切の援助なしで生活して貰おうかと」
にっこりと割と酷い事を提案してきた。
だが、貴族と思わなければ、ごく一般的な生活で、家付だけ恵まれている。
「無難な案だが…それだと先ずは、生活の術を教え込む必要があるな」
「そうですね。それに関しては、現在雇われている侍従と女官に依頼すれば済むかと」
何でもない事のように応じているが、そこからが罰の気がしてくる。
あの家の使用人達は、扱いが決して良くなかった筈だ。
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