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「アルフ。仮に今回は良かったが、次回自分が操作されても同じ事が言えるか?」
「…致し方がないと、諦めるほかありません。騙された自分にも、落ち度があります」
「そこが今回違うだろう?自分の意思は関係ない。アルフやグレンも、解除するまでは疑念すら覚えてない。何か違ったか?」
「相違ありませんが…それでは納得しないかと」
「だから私の一存で不問とするのだ。それなら、精々やっかまれるだけで済むだろ。まあ、しばらくは居心地の悪い状態だろうがな」
そこまでは、どうしようもないと言えば、アルフレッドが眉間に皺を寄せてしまう。
「その辺が問題なんです。元々よく思われてないのに、特別扱いされたらサムの立場がありません」
「そういうが…罰したら、妙な前例になるぞ?こう言っては語弊があるだろうが、冤罪を容認するようなものだ。アルフも同罪の括りで罰せられたいのか?」
大きな括りでいくと、アルフレッドとグレンも罪に問われる対象となる。
そう指摘され、目を幾分見開き驚いているが、いいように騙されていたのは同じだ。
「…そう言われると痛いですね。確かに我らも同罪ですな」
困ったような表情を浮かべ、自分たちにまで類が及ぶ可能性を失念していたのがよく分かる態度だ。
「それで、アルフは罪状に納得が本当にいくのか?」
改めて尋ねれば、今度は即答できずに悩ましげな顔をしている。
「指摘されれば…諦めるしかないのは同じですね。ただ…本心から納得はしかねますね」
苦渋の表情で応じてくるが、それが普通だろうと言いたい。
本心から納得した方が変だと考えるのは、王宮勤務としては不適切なのかもしれないが、人としては間違っていない筈だ。
「ならば、私の意見はさほど問題ないな。陛下も、無駄に騒ぎを大きくする気はないみたいだしね」
「左様ですか?」
「ああ。国内の、しかも公爵家の内紛止まりが希望のようだからね。私の依頼を拒否することはないと思うよ」
怪訝そうな問いに、苦笑で応じれば渋々納得しているが、気分は微妙なのだろう。
現実と乖離した方向で終息させるやり方は、あまりに政治的だ。
「証拠がアレだけでは、大国に苦情を申し立てるのも無理だ。かといって、何もなかったというには耳目を集め過ぎているから、トカゲの尻尾切りで手を打つのが妥当だよ」
実際、手を出したのは公爵家だけだからね、と言えば痛ましげな視線を向けられる。
しかし、私も公爵家に情はさしてないのだから、どんな結果でも構わないのだ。
「セイ様は、私達に比べて公爵家には冷ややか過ぎませんか?」
「アルフには悪いが、肉親や親族には思い入れもなければ、これといった情も湧かない。彼等も、私は排除対象か利用価値の有無程度の認識で愛情は一欠片もないだろうしね」
「…セイ様。では、王子殿下方も同様なのですか?」
「?ああ、ドミニク達は例外というか、親族の括りにするには立場が違うだろ。それに、どちらかと言えば養い子だぞ?」
親族という括りでいけば、確かに陛下の子は私の従兄弟だろう。
アルフレッドに指摘されなければ、そういう視点で見たこともなかったのだ。
「それを聞き安堵致しました。何方にも情がないというように聞こえましたから」
「いや、アルフやグレンには幾ら何でも情が湧くし、サムも気に入っているのだが?」
「言い方が悪かったですね。親族や肉親に関してです。我らに対してより他への対応が、少々冷たいので気になっていたんです」
態と勘違いするような言い回しをしたようで、微妙に満足そうに言葉を紡いできた。
だが内容に関しては、苦笑するより他に反論できないものだ。
「…致し方がないと、諦めるほかありません。騙された自分にも、落ち度があります」
「そこが今回違うだろう?自分の意思は関係ない。アルフやグレンも、解除するまでは疑念すら覚えてない。何か違ったか?」
「相違ありませんが…それでは納得しないかと」
「だから私の一存で不問とするのだ。それなら、精々やっかまれるだけで済むだろ。まあ、しばらくは居心地の悪い状態だろうがな」
そこまでは、どうしようもないと言えば、アルフレッドが眉間に皺を寄せてしまう。
「その辺が問題なんです。元々よく思われてないのに、特別扱いされたらサムの立場がありません」
「そういうが…罰したら、妙な前例になるぞ?こう言っては語弊があるだろうが、冤罪を容認するようなものだ。アルフも同罪の括りで罰せられたいのか?」
大きな括りでいくと、アルフレッドとグレンも罪に問われる対象となる。
そう指摘され、目を幾分見開き驚いているが、いいように騙されていたのは同じだ。
「…そう言われると痛いですね。確かに我らも同罪ですな」
困ったような表情を浮かべ、自分たちにまで類が及ぶ可能性を失念していたのがよく分かる態度だ。
「それで、アルフは罪状に納得が本当にいくのか?」
改めて尋ねれば、今度は即答できずに悩ましげな顔をしている。
「指摘されれば…諦めるしかないのは同じですね。ただ…本心から納得はしかねますね」
苦渋の表情で応じてくるが、それが普通だろうと言いたい。
本心から納得した方が変だと考えるのは、王宮勤務としては不適切なのかもしれないが、人としては間違っていない筈だ。
「ならば、私の意見はさほど問題ないな。陛下も、無駄に騒ぎを大きくする気はないみたいだしね」
「左様ですか?」
「ああ。国内の、しかも公爵家の内紛止まりが希望のようだからね。私の依頼を拒否することはないと思うよ」
怪訝そうな問いに、苦笑で応じれば渋々納得しているが、気分は微妙なのだろう。
現実と乖離した方向で終息させるやり方は、あまりに政治的だ。
「証拠がアレだけでは、大国に苦情を申し立てるのも無理だ。かといって、何もなかったというには耳目を集め過ぎているから、トカゲの尻尾切りで手を打つのが妥当だよ」
実際、手を出したのは公爵家だけだからね、と言えば痛ましげな視線を向けられる。
しかし、私も公爵家に情はさしてないのだから、どんな結果でも構わないのだ。
「セイ様は、私達に比べて公爵家には冷ややか過ぎませんか?」
「アルフには悪いが、肉親や親族には思い入れもなければ、これといった情も湧かない。彼等も、私は排除対象か利用価値の有無程度の認識で愛情は一欠片もないだろうしね」
「…セイ様。では、王子殿下方も同様なのですか?」
「?ああ、ドミニク達は例外というか、親族の括りにするには立場が違うだろ。それに、どちらかと言えば養い子だぞ?」
親族という括りでいけば、確かに陛下の子は私の従兄弟だろう。
アルフレッドに指摘されなければ、そういう視点で見たこともなかったのだ。
「それを聞き安堵致しました。何方にも情がないというように聞こえましたから」
「いや、アルフやグレンには幾ら何でも情が湧くし、サムも気に入っているのだが?」
「言い方が悪かったですね。親族や肉親に関してです。我らに対してより他への対応が、少々冷たいので気になっていたんです」
態と勘違いするような言い回しをしたようで、微妙に満足そうに言葉を紡いできた。
だが内容に関しては、苦笑するより他に反論できないものだ。
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