傍観者を希望

静流

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「あ、いえ。落差が随分あるでしょう?」

「そうでもないが…。ああ、そういうことか。断っておくが、風霊が言葉通り投げ飛ばし王宮外か王都外に落とされるのだ。それで無事で済む筈がないだろう」

「は?投げ飛ばすのは、生死を問わないという事で軽いのでは?」

「アルフ。何処の世界に、高所から落とされて生きている者がいるのだ。ほぼ即死か瀕死だと思うぞ。よっぽど運が良くて生き長らえても、骨折は免れないし、下手をすれば寝たっきりだ」

「…それでは、素直に瞬殺された方がましでは?」

「そうだが、それはそれで残酷な状態だ。私は2度と目にしたくない」

アルフレッドの言葉で昔を思い出し、顔を歪める。アレはトラウマでしかない光景だ。

「なるほど。故に、死体が残らぬ方法を精霊が選ぶのですね」

「簡単に言うがな、アルフも死体は見たくないだろ。歩けば死体に当たる生活を好むなら、構わないぞ」

「いえいえ、滅相もありません。死体は遠慮致しますから、今まで通りでお願いします」

ギョッとして、本気で拒否を示すアルフレッドに、少し溜飲が下がる。
そこに、下に確認に走ったグレンが、足早に戻って来た。

「遅くなりました。少々混乱状態で、伝令が若手に任されただけのようです」

「混乱ですか…」

「まあ、派閥争いというか…責任の所在を巡っての討論と言った感じでしょうか」

アルフレッドの呟きに、グレンが誤魔化すような物言いをしている。
今回の事態で、サムと言うよりはランの部隊と王宮騎士が衝突したようだ。

「サムは退任させられそうか?」

「…何とも言い難いですね。確かに術中に嵌められた上に、本人は暢気に旅行ですから」

「そこを責められると微妙だな。だからあの騎士も、ああ慌てて弁明していたのか」

先程の伝令役を思い出し嘆息するが、処罰は陛下の権限であり、騎士団間には存在しない。それを強行すれば、越権行為だろうが、これも慣例だと嘯くのだろうか?

「グレン。私の権限に下の詰所は含まれるか?」

「はい。彼処も宮の一部ですから、セイ様の管轄の内です」

「そう。なら済まないが、陛下に下の騒動に対する鎮圧依頼を出して置いてくれる?勝手に処理されては困るから、頼んだよ。ああ、それから私自身はサムに責任を問う気はないから、処罰は求めてないと伝えて置いてね」

ニッコリと命令を下せば、グレンが口元を引き攣らせつつ「畏まりました」と承諾し一礼して再び駆けていく。

「セイ様。本当にそれで宜しいのですか?」

「アルフは反対のようだな」

「それでは示しがつきませんので、せめて処罰は必要かと」

他の騎士の手前という前置きがありそうだ。

一理あるが、被害者を処罰するのも変だと思う。それに、自分が当事者になったら仕方がないと、本当に納得するのだろうかという疑念が湧く。
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