傍観者を希望

静流

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「セイ様。サムの身を守るのには、必要な手段です。優先順位を、間違われぬようにお願い致します」

グレンを目で追っていると、アルフレッドが釘を刺してくる。
自分がどう思われるかは重要ではないが、確かにそれを気にしていた。

「分かってはいるが…、サムに犬猿されるのでは、と憂慮してしまうのだから仕方がないだろう?」

「憂慮に過ぎないから、制止はされなかったのですね」

「制止の理由がないからな。第一、私が口に出したことだ」

肩を竦めて見せれば、苦笑を返され、食事を用意してある東屋へ促された。

「この後、陛下が来宮を希望されてますが、どうされますか?」

「昼食を一緒に、ということか?」

「そこまでの指定は御座いませんが、急ぎの様子でした」

「そう…なら、この後呼んで構わないよ。特に、予定は入ってなかった筈だ」

スッと一礼し、下がった様子からして、連絡に向かったようだ。
目の前に鎮座している朝食は、好みの物ばかりなのだが、量が全体的に多めだ。

「嫌がらせ…ではないが、コレは何人前のつもりなんだ?」

げんなりと独り言を零せば、背後から咳払いの音がした。

「アルフ、その気配を消して近付くのは辞めてくれるか?心臓に悪いのだがな」

「おや、左様でしたか。ですが、グレンが指摘する様に、側に人が居るとお嫌でしょう?」

片眉を器用に上げ、問い直されるのだが、何とも嫌味混じりな感じがする。
先程のボヤキが原因だと察して、どっちが主人なんだか、と内心呆れてしまった。

「昨日の続きにならないか?」

蒸し返す気か、と見遣ったのだが、笑みを返すだけで黙している。

「呼んだら来る程度の、距離感が気楽なだけだ。四六時中見張られているのは、どうにも窮屈に思えないか?」

「それは心の持ちようかと、我々は監視している訳ではありません」

「分かっている。此方も言葉の綾だ。そう目を尖らせるな」

「此れはご無礼を。ですが、職務遂行の為には、セイ様の意向には添いかねます」

目を伏せ謝罪を口にしているが、側仕えの内容からして無理だと指摘してくる。
私も、それ自体は充分納得してはいる。

「おや、珍しくセイ殿が我儘を言っているのか?」

宰相殿を伴って現れた陛下が、ニヤッと笑って声を掛けてくる。
背後で宰相殿が「陛下」と嗜めているが、全く聴いてない。

「陛下。お出迎えもせず、失礼致しました」

「グレンが不在の様だから、仕方がないだろう。だが、少々早かったようだな」

目が、全く減ってない朝食に向いていて、幾分悪そうに言ってきた。
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