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「一口ずつでも構いませんので、どうかお食べ下さい」
アルフレッドの言葉で、漸く品数が多い理由が分かった。
食欲が、落ちているのを考慮されていた様で、申し訳なく思えてくる。
「気を遣わせて済まない。だが、陛下たちの好みも、把握しているのか?」
「従僕でしたから、その辺は当然把握してます」
「毒見なしで食べられる、暖かい食事に飢えててな、2人してアルフに催促したものだ。お陰で、しっかり胃袋を掴まれているがな」
陛下が食べながら捕捉してくれるが、多少の誇張はあり得そうな感じで、笑い声まで混じっていた。
横で、宰相殿は黙々と食べていて、逆に信憑性は増してくる。
「今朝の食事は、陛下方の好みにも添ってますから、セイ様が気に病むことはありません。ごゆっくりお召し上がりください」
実際、陛下たちが減らしてくれたお陰で、全て一口か二口程度になっていた。
アルフレッドの読み通りだろうが、今朝の騒動で、更に食欲が失せている状態では、それすら持てあましている。
「よほど食欲がない様だが、原因はサムか?」
「その元凶の様な言い方は、不適切ですよ。彼に罪はありませんから」
取皿を突きながら応じれば、微かに背後の騎士たちが反応している。
不穏な雰囲気が漏れている方へ、視線を遣れば、目が据わっている騎士がいた。
「ふむ。私の処分が不当だという、苦情ではないのなら、何が気がかりなのだ?」
陛下も、チラッと視線の先を眺めて、態とらしく聞いてくる。
不問の処分は、自分の意向だと明言して矛先を逸らせたいのだろう。
序でに、敢えて念押しして、楯突く気かと威圧も含んでいそうだ。
「いえ、これに懲りて、辞職などと言わないか、と気を揉んでいるだけです。アルフには、杞憂だと慰められましたが…。魔法で記憶操作などとされては、我が国では現状対処不能ですから、似た状態に陥った場合の、悪しき前例になっては困ります」
「…悪しき前例か。大国の魔法使いが適当に選んだだけで、当人には落ち度がないからな。幾ら何でも、私も罰する真似はしないが?」
「周りは、それで納得してないかと。実際、サムも自分が処罰対象だと捉えてましたよ。冤罪を大量生産しろ、とでも言うのですかね?」
「おやおや。当人まで、そんな愚かな事を言っているのですか?」
漸く落ち着いたのか、宰相殿も参加してきた。
食べながらも、話の流れは理解しているようだ。
「いい含めて置きましたが、自覚がないから面倒な話です。記憶操作など、本来なら縁のない事態ですから、仕方がないとも言えますが…」
敢えて首を振り、さもどう仕様もないという素振りを示せば、陛下も乗ってくる。
「記憶操作されたのは、アルフ達まで入るからな。他にも、調べれば何人いるのか判ったものではないな」
敢えてアルフレッドの名を挙げ、騎士達に聞かせている。
アルフレッドの言葉で、漸く品数が多い理由が分かった。
食欲が、落ちているのを考慮されていた様で、申し訳なく思えてくる。
「気を遣わせて済まない。だが、陛下たちの好みも、把握しているのか?」
「従僕でしたから、その辺は当然把握してます」
「毒見なしで食べられる、暖かい食事に飢えててな、2人してアルフに催促したものだ。お陰で、しっかり胃袋を掴まれているがな」
陛下が食べながら捕捉してくれるが、多少の誇張はあり得そうな感じで、笑い声まで混じっていた。
横で、宰相殿は黙々と食べていて、逆に信憑性は増してくる。
「今朝の食事は、陛下方の好みにも添ってますから、セイ様が気に病むことはありません。ごゆっくりお召し上がりください」
実際、陛下たちが減らしてくれたお陰で、全て一口か二口程度になっていた。
アルフレッドの読み通りだろうが、今朝の騒動で、更に食欲が失せている状態では、それすら持てあましている。
「よほど食欲がない様だが、原因はサムか?」
「その元凶の様な言い方は、不適切ですよ。彼に罪はありませんから」
取皿を突きながら応じれば、微かに背後の騎士たちが反応している。
不穏な雰囲気が漏れている方へ、視線を遣れば、目が据わっている騎士がいた。
「ふむ。私の処分が不当だという、苦情ではないのなら、何が気がかりなのだ?」
陛下も、チラッと視線の先を眺めて、態とらしく聞いてくる。
不問の処分は、自分の意向だと明言して矛先を逸らせたいのだろう。
序でに、敢えて念押しして、楯突く気かと威圧も含んでいそうだ。
「いえ、これに懲りて、辞職などと言わないか、と気を揉んでいるだけです。アルフには、杞憂だと慰められましたが…。魔法で記憶操作などとされては、我が国では現状対処不能ですから、似た状態に陥った場合の、悪しき前例になっては困ります」
「…悪しき前例か。大国の魔法使いが適当に選んだだけで、当人には落ち度がないからな。幾ら何でも、私も罰する真似はしないが?」
「周りは、それで納得してないかと。実際、サムも自分が処罰対象だと捉えてましたよ。冤罪を大量生産しろ、とでも言うのですかね?」
「おやおや。当人まで、そんな愚かな事を言っているのですか?」
漸く落ち着いたのか、宰相殿も参加してきた。
食べながらも、話の流れは理解しているようだ。
「いい含めて置きましたが、自覚がないから面倒な話です。記憶操作など、本来なら縁のない事態ですから、仕方がないとも言えますが…」
敢えて首を振り、さもどう仕様もないという素振りを示せば、陛下も乗ってくる。
「記憶操作されたのは、アルフ達まで入るからな。他にも、調べれば何人いるのか判ったものではないな」
敢えてアルフレッドの名を挙げ、騎士達に聞かせている。
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