傍観者を希望

静流

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「失礼ですが、その状態で報告書を提出するのですか?」

「まさか、そのような真似はしません。精々、難航していると申告する程度ですが、何故そのような事を訊かれるので?」

「…私の元には、その出してない報告書があるのだ。しかも、粛々と調べに応じ、非常に協力的だとあったがな」

陛下の言葉に、目を見開き一瞬固まっていたが、顔を歪めて悔し気な表情に変わる。
誰の仕業か、即座に理解したようだった。

「管理不行届で申し訳ありません。1人該当人物に心当たりがありますが、残念ながら、大国とは無関係のお調子者です」

肩を落として申告されても、こればかりは虚偽の報告扱いになり、該当者は勿論だが、上司の宰相殿も処罰が確実だ。

「本当に大国とは無関係なのか?」

「生憎と、そこまで有能ではないのだけは、保証できますよ。あの者の得意な事は、上に媚び諂い、下に威張ることのみで、実はないというものです」

「…辛辣な評価ですが、何故容認し、在籍して居るのですか?珍しく、許容する理由が解りません」

口では非難している割に、対応が随分と甘い気がして尋ねれば、渋面になりながら「不肖の息子です」と嫌そうに白状した。

「意外だが、息子には甘いのだな。だが、公私混同とは、らしくない気がするのだが…何か訳でもあるのか?」

該当人物を思い出した陛下が、苦笑を浮かべながら、訝し気に問うていた。

「ギリギリ官吏の試験には合格しましたが、研修後に引取先がなく、仕方なく私の部署に置いているんです。その時点で、選択ミスを犯しているのは承知してますが、出来の悪い息子だけに、気がかりでして」

頭を掻いているが、取分け可愛がっているようにも見えない。
子煩悩にしては、何か違和感があった。

「言葉と表情が、合ってない気がするのだが…。第一、そんなに子煩悩でもなかった筈だ」

「私が記憶する限りでも、家庭の話題はほぼなく、家に帰るのも年に数回だったかと」

アルフレッドの補足に、陛下と大差ない親子関係が想定される。
間違っても、子煩悩にはほど遠そうな感じだ。

「誰もそんな事は言ってませんが?私が危惧しているのは、息子が愚行をし、迷惑をかけることの一点ですよ。手元で監視している方が、まだ安全だと踏んだのですがね」

此方の推測とは真逆の発想に、妙に納得がいくものの、段々呆れてきた。

「今回は、その監視の目を掻い潜って、正反対の報告を出した、という事ですか?」

「はい。ですから、管理不行届だと申告したでしょう?」

開き直った言いように、唖然とするが、大国との関係を疑われるよりは、マシだという事だろう。

凍るような視線から、かなり激怒しているのも確かで、あまり藪を突っつけば、此方にも火の粉が飛んできそうだ。
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