傍観者を希望

静流

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「それはご法度では?確か、そう陛下にお聞きしたかと」

「それは…そうなんだがな。例外というか、抜け道があってな。精霊の自発行為は、構わないとあるのだ」

「随分と勝手な言い分ですね」

目を眇めて応じれば、陛下も申し訳なさそうにしている。

「重々承知の上で、敢えてお願いしたいのだ。あの者は、我らの手に余る」

「現状では、魔力を封じられた諜報員でしょう?何が問題だと言うのかが、解りかねます」

何故、単なる諜報員が手に余るのか、と眉根を寄せた。

「それがですね…取調べる騎士が、妙に怖がっているんです」

「は?それが仕事なんですよね?」

本職の専門家が、言うことではないだろうと返せば、溜息を漏らし「私もそう言ったのですがね」とボヤいている。

「記憶操作したというのが、畏怖の理由らしいのだ。何度、問題ないと説明しても、怖がって拒否するらしい」

仕事をボイコットして、サムは責めるというのでは、騎士としての矜持があるのか、疑問になってくる。

「まさか、全員ではないですよね?」

「率先して職務に着く、気概がある者も居るにはいますが、総じて短気で直ぐに怒るんです」

「良いように、おちょくられるという事ですか…」

この国、それで大丈夫なのか、と胡乱気な視線を陛下に向ければ、力なく微笑み返される。

「不甲斐なくて申し訳ない」

「現状は理解しましたが、短絡的な結論だと言わせて頂きます。間違っても、精霊に面と向かって言わないで下さい。後がどうなっても保証できませんからね?」

「まさか…勝手な言い分だ、と激怒されるのか?」

「それ位で済む話ではありません。精霊の自由にさせれば、国が滅び兼ねません。先日も申し上げましたが、この国にも、いい感情を抱いてない精霊がいるんですよ?」

「いや、だが…セイ殿が止めてくれるだろう?」

自国に降りかかると忠告すれば、これまた呆れた事を言ってくる。

「時と場合によるかと。最悪、領民さえ守っても構いませんが?」

「そんな…冷たい事を言わんでくれないか?この通り頼む」

陛下は、サッと顔を青褪めさせ、勢いよく頭を深々と下げてくる。
宰相殿も一緒に頭を下げ、制止する者がいない。

「陛下、そう簡単に頭を下げるのは辞めて下さい。こう頻繁にされると、有り難みも無くなりますからね?」

困ったら、取り敢えず頭を下げるのか、と面倒臭気に告げれば、頭を上げながら「他に術がないのだ」と困り顔だ。

「セイ様、一国の主ではなくても、何か頼む時は、頭を下げてお願いするものです。我らに他意は御座いません」

いかにも誠実そうなのだが、無茶な要求の後では、真実味に欠ける。
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