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「何方にしても、当の精霊王なら大国に悪戯をしに行っていませんし、無理に呼び戻せば、気分を損ねますよ?」
「…聞き間違いか?今、悪戯と言ったのか?」
「その通りですが?心配する程の事はしませんし、国民に被害がいかない範囲で留める様に、釘は刺してます」
「充分、不穏に聞こえるのだが?」
揃って顔を引き攣らせているが、いったい何を想定しているのやら、と逆に聞きたくなる。
「陛下や上層部のみが、被害対象ですから大した事はありませんよ?」
「いや、自分の身に置き換えるとだな、何をされるのかと怖くなってくるのだ」
「私は、上層部のみの被害の内容が気になりますが…知らない方が幸せでしょうか?」
「単に悪戯ですから、精々王宮内の花が一時的に枯れるとか、貯蔵している嗜好品が駄目になる程度で、命の危険は皆無です。流石に、農作物には手は出してない筈です」
取り敢えず、想定できる事例を挙げれば、陛下は嫌そうな顔をし、宰相殿は何か思案している。
「王宮内の庭師は、どうなるのだ?上層部ではないぞ」
「ですから、一時的なんです。庭師が責められる前に、元に戻しますから、文句をつけられる恐れはありません。第一、精霊の仕業だと気付けない方が、後々困りますよ」
「下手に責めたら、自分の株を下げるという事か。それでは、早々に罰する方が、危なさそうだな」
「ええ、ちょっと調べれば判ることです。手間を惜しんで、能力を疑われる愚を犯す者は、滅多にいません」
「故に、悪戯なのですね。因みに、傷んだ嗜好品はどうなるのです?」
「大抵は下げ渡されるので、行った先によっては、修復されて元通りになります。上流階級は、取り敢えず食べられる程度を維持し、廃棄処分だけはされません」
説明しながら、他の精霊王が人為的にする方が、笑えない事態を引き起こしていそうだ、と内心冷や汗が出てくる。
「成程な、妙なところで徹底している。ところで、セイ殿の顔色が悪いのには、何か理由があるのか?」
「今回の件は、私自身も面白くなかったので、精霊の報復行為を半ば許可しているのです。但し、精霊の力を使わない方向でです。それなりに、人としても影響力があるので、もう少し制限を設けて置けば良かったかと」
今更ながら、幾分まずいかな、と思い出しているのだ。
悪戯で振り回し、経済的に被害を受ければ、余計に冷静さに欠けた指示を出しそうで、尻尾は捕まえられても、被害は大きくなる気がする。
「精霊の力を使わないなら、さほど問題ないと思うが、職種は何なのだ?」
「多国籍で商売している商人です。片方が上流階級向けで、色々と影響力を持ってます」
「…まあ、商人なら無茶はしない筈だから、気に病む事はないだろう」
「陛下。考えが甘いですよ。政財界に影響力があり、大国での儲けを考慮しなければ、充分内部を掻き回せます」
陛下は、肩の力を抜き問題ないと言うが、宰相殿は察しが良いのか、こちらの危惧を当ててきた。
「…聞き間違いか?今、悪戯と言ったのか?」
「その通りですが?心配する程の事はしませんし、国民に被害がいかない範囲で留める様に、釘は刺してます」
「充分、不穏に聞こえるのだが?」
揃って顔を引き攣らせているが、いったい何を想定しているのやら、と逆に聞きたくなる。
「陛下や上層部のみが、被害対象ですから大した事はありませんよ?」
「いや、自分の身に置き換えるとだな、何をされるのかと怖くなってくるのだ」
「私は、上層部のみの被害の内容が気になりますが…知らない方が幸せでしょうか?」
「単に悪戯ですから、精々王宮内の花が一時的に枯れるとか、貯蔵している嗜好品が駄目になる程度で、命の危険は皆無です。流石に、農作物には手は出してない筈です」
取り敢えず、想定できる事例を挙げれば、陛下は嫌そうな顔をし、宰相殿は何か思案している。
「王宮内の庭師は、どうなるのだ?上層部ではないぞ」
「ですから、一時的なんです。庭師が責められる前に、元に戻しますから、文句をつけられる恐れはありません。第一、精霊の仕業だと気付けない方が、後々困りますよ」
「下手に責めたら、自分の株を下げるという事か。それでは、早々に罰する方が、危なさそうだな」
「ええ、ちょっと調べれば判ることです。手間を惜しんで、能力を疑われる愚を犯す者は、滅多にいません」
「故に、悪戯なのですね。因みに、傷んだ嗜好品はどうなるのです?」
「大抵は下げ渡されるので、行った先によっては、修復されて元通りになります。上流階級は、取り敢えず食べられる程度を維持し、廃棄処分だけはされません」
説明しながら、他の精霊王が人為的にする方が、笑えない事態を引き起こしていそうだ、と内心冷や汗が出てくる。
「成程な、妙なところで徹底している。ところで、セイ殿の顔色が悪いのには、何か理由があるのか?」
「今回の件は、私自身も面白くなかったので、精霊の報復行為を半ば許可しているのです。但し、精霊の力を使わない方向でです。それなりに、人としても影響力があるので、もう少し制限を設けて置けば良かったかと」
今更ながら、幾分まずいかな、と思い出しているのだ。
悪戯で振り回し、経済的に被害を受ければ、余計に冷静さに欠けた指示を出しそうで、尻尾は捕まえられても、被害は大きくなる気がする。
「精霊の力を使わないなら、さほど問題ないと思うが、職種は何なのだ?」
「多国籍で商売している商人です。片方が上流階級向けで、色々と影響力を持ってます」
「…まあ、商人なら無茶はしない筈だから、気に病む事はないだろう」
「陛下。考えが甘いですよ。政財界に影響力があり、大国での儲けを考慮しなければ、充分内部を掻き回せます」
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